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エビちゃん日記
- あんしんはしんどい日記
- 震災復興
さていよいよ
能登でのボランティア作業の開始。
アースディ東京組は
天ぷらバスに乗り、能登町鵜川という
地区の港に到着後、
それぞれの班に分かれて現地に向かう。
我々「蓮光寺」班はさらに、
住職夫妻の住まいの片付けチームと、
鐘撞(かねつき)堂チームの
二手に分かれる。
お住まいの中は見なかったが、
奥様が言うには、
ピアノを運び出したいのだが、
その前にいろんなものが散乱して
ピアノにたどり着けないという。
片付けチームは、
夫妻の指示にしたがって、
その様々な家財道具を
「使えるもの・使えないもの」
「可燃ごみ・不燃ごみ・粗大ごみ」と
仕分けして、外に出す作業だ。
そして「鐘撞堂」。
完全に土台から外れ、
崩れてしまっている。
反対側から見るとこんな感じ。
横から。
そして押しつぶされた中に、
救出を待つ鐘が見える。
待ってろ! いま出してやる― と
レスキュー隊みたいに
カッコよく叫びたくなったが、
その前にやることは、
まずは屋根の撤去から、なのである。
ということは、瓦をはがす作業から、
ということだ。
落ちて散乱した瓦の掃除から始まり、
屋根の上から一枚々々
瓦をはがしては降ろし、運ぶ。
損傷がないもの、少々の傷や欠けですんだもの、
あるいはきれいに半割れしたものなどは
「使える瓦」として、
その種類ごとに仕分けし、
庭に並べていく。
同じ形に見えて、微妙に違う瓦がある。
一つの屋根に何種類もの瓦が使われることを、
この歳にして初めて知った。
そんな作業を、ひたすら続ける。
天気も良く、気温も上がってきた。
現地リーダーからは
「水分補給をこまめにね」
「無理せず、休んでくださいよ」
という指示が飛ぶ。
「皆さんが怪我なく、
無事に帰っていただくことが
大事なことなのです」
なるほど。
僕らが怪我などしては、
ボランティア活動そのものに
影響を与える可能性があるのだ。
「まだまだ若いモンには負けねぇ」
とか言って張り切ってると、
それははた目には
迷惑なオヤジにしか見えない
ってことか・・ 要注意。
お昼は、
仮設住宅の交流スペースでいただく。
現地の人たちとボランティアが
一緒に作業して用意されたものだ。
おにぎりに豚汁、そして
「熱海からアジの干物が送られてきたので
焼きましょう」
という紹介もあって、
ちょっと嬉しくなった。
熱海の干物、肉厚で美味しかったです。
そして仮設住宅に暮らす女性陣たちの
明るさに、元気もいただく。
移動途中で見た集落の光景。
とりあえず道を開けるために
まとめたような状態。
またどの住居にも、「注意」「危険」
「検査済み」(問題なし)
といった紙が貼られていた。
傾いた状態の家も散見された。
まだ多くが、地震後のままなのだ。
お昼休憩後は、再び蓮光寺に戻り
同じ作業を繰り返す。
やがて瓦の撤去がほぼほぼ片付き、
瓦の下の板をはぎ始め、
午後3時半を過ぎたあたりで、
「本日の作業、終了」
の声がかかる。
住居内片づけチームも合流し、
記念撮影。
鐘の救出まではいかなかったけど、
もう少しだ。
住職さんご夫婦からは、
身に余るような感謝の言葉をいただいた。
地震からしばらくは呆然自失状態で、
何も手が付けられなかった。
こうして皆さんに助けられて、
前に進もうという気持ちになれた、と。
また新しいつながりができたような
気持ちになって、住職にお願いした。
「このお堂が再建されたら、
鐘を撞きに来させてください」
「いやもう喜んで。ぜひぜひ!」
退去する前に、住職から、
「何とかこれだけは」と助け出した
というご本尊に、誘われた。
しっかりと手を合わせ、
お祈りして、寺をあとにする。
他の班の人たちも全員戻ってきて、
バスが出ようとしたとき、
近くにいた子どもたちが走ってきた。
「また来る?」
「いつ来る? 明日?」
と名残惜しそうに問う。
この子たちと遊んだ班があったようだ。
バスが走り出しても、
手を振りながら、
しばらく追いかけてくる。
思わず泣きそうになった。
オープン・ジャパンの拠点に戻り、
ボランティアたちと夕食を共にしながら、
しばしの交流を楽しんだ。
東北からも、熊本・益城からも、
助っ人が駆けつけてきている。
長期のボランティアを覚悟して、
仕事を辞めて来たという若者もいた。
オープン・ジャパンの
災害支援プロジェクト・リーダー、
肥田浩さん(みんな「ヒーサー」と呼ぶ)
にいたっては、阪神淡路の時から
ボランティアを続けてきて、
車中泊が年間ウン百何日という猛者である。
みんなスゴイなぁ、と感心する。
彼らを見ていると、
日本も捨てたもんじゃないと思えてくる。
こういう人たちの力で、
この国のモラルと「共助」が守られている。
最近、NHKのかつての人気番組
「プロジェクトX」が復活したが、
中島みゆきが歌う「地上の星」とは、
こういう人たちじゃないか、と思った。
風のなかのスバル、砂のなかの銀河~
みんなどこへ行った、
見送られることもなく~地上にある星を、誰も覚えていない
人は空ばかり見てる~つばめよ 地上の星は
今どこに あるのだろう~
-答えは、「ここにある!」だ。
交流の中身が濃くて、
予定より一時間遅れて、能登を出発。
みんな疲れたか、
車中、順番に感想を語っているうちに
寝ちゃった人もいる。
僕も喋った後、すぐに寝入った。
能登をまた訪ねた夢を見ていた
ような気がするが、思い出せない。
ただいつか、
あの鐘を撞きに行くことだけは
たしかな夢だ。
みんな寝入ったので、
トイレ休憩の回数を減らして、
天ぷらバスは、ひたすら東京に向かって
走った。
4日、朝6時前。
予定より少し早く東京駅に到着。
最後に写真を撮って、解散。
皆さま、お疲れさまでした。
そして感謝です。
怪我なく終えて、よかったです。
たった一日、いや正味半日の作業で
偉そうなことは言えない。
ただ、何か大切なものを学んだ
ようには思う。
それを忘れずに、今日・明日を
生きていこうと思う。
蓮光寺に掲げられていた、
今日の言葉を貼り付けて、
レポートを終えたい。
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