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エビちゃん日記
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7月17日(水)、
丹那盆地に赤とんぼが舞った。
7月23日(火)、
山腹からヒグラシが木霊した。
危険な暑さが続く中でも、
季節は確実に流れているようです。
さて、MOA自然農法文化事業団・
大仁農場訪問記の続き。
最初に案内されたのは茶畑。
肥料は入れてないという。
茶は窒素を食う(欲しがる)とか、
甘みを出すには窒素肥料が必要とか、
聞いた覚えがあったので、
お茶はどんな味がするのか尋ねてみた。
「淡い感じですね」との答え。
飲んでみたくなった。
畑全体が緩やかに傾斜していて、
開拓当初の苦労を想像する。
各種の実証実験の説明をする
阿部専務。
この団体の特徴のひとつは、
大仁農場を拠点としつつも、
会員農家と共同で
品種改良に取り組んでいることだ。
たとえばお米では、
西日本と東日本を代表する品種
(「亀の尾」と「旭」)を
大仁農場で交配・育成し、
実際に栽培に携わる自然農法実践農家
の協力のもとで、食味値の高い系統を
選抜、交配を重ね、
13年の歳月をかけて新しい品種
「くまみのり」を完成させた。
品種登録も済んでいる。
この米は、米アレルギーの方でも
アレルギーが発症しないという。
日本はコメが余り始めた約半世紀前から、
ひたすら食味の良い品種づくりを目指してきた。
しかしいわゆる「美味しい米」
(アミロース含量が低く粘りのある米)が
増えるほどに、日本人のコメの消費量は
減少の一途をたどってきたばかりか、
米でアレルギーを発症する人まで現れてきた。
その原因が「美味しいお米」にあるという
ワケではないが、米アレルギーは
コシヒカリ系の米で起きるとは言われている。
「くまみのり」はあくまでも
「健康に資する米」を目指して開発された。
食味はモッチリ系ではなく、あっさりめで
後味が良い、いわゆる「食べ飽きない」米だ。
茎が太く、倒れにくい、晩成型の品種。
名前は育成を重ねた地が熊本県だった
ことに由来している。
ちなみにMOAの会員生産者は
全国に1300人。
グループ(普及会という)は240。
自然農法の品種育成地は10ヵ所ある。
会員は年に一回、MOAが定めた
自然農法ガイドラインの研修会に
参加すること、となっている。
大学と連携した研究も行っている。
こちらは静岡大学農学部との
共同研究ほ場。
有機栽培と化学肥料を用いた栽培での
温室効果ガス排出量の違いや
水質浄化度の違いが検証され、
いずれも有機栽培の優位性が
立証されている。
つまりはこういうことである。
有機農業や自然農法など
持続可能な農業システムは、
持続可能な食料生産を支える。
化学肥料・化学農薬を排除
もしくは使用を削減することは、
水質汚染防止につながり、
人々の健康や福祉につながる。
適切な土壌管理は、
気候変動の抑制につながる。
生態系の維持、生物多様性の向上に
貢献する。
さらに阿部さんは、
ひと言サラッと
「害虫をただの虫にする」
とも付け加えた。
この意味は、
農薬・化学肥料に依存した
近代農業が広がるに伴って、じつは
「害虫」の種類は増えたのである、
ということである。
昔は害虫でも何でもなかった虫が、
生態系バランスの変化や
植物体の変質にともなって
野菜を食べる「害虫」となった。
あるいは農薬によって天敵(益虫)が
いなくなった後、大量発生して
作物に被害をもたらすようになった。
生態系のバランスを整え、
生物多様性を豊かにすれば、
「害虫」は「益虫」のエサとして、
人間にとっては「ただの虫」として
生息するようになる。
いや、「必要な虫」になるのだ。
この形を目指す理論は
「総合的生物多様性管理」(IBM:
Integrated Biodaiversitey Management)
という。
最後に。
阿部さんに不耕起栽培に対する
見解を伺ったところ、
「場所とやり方による」
との答えが返ってきた。
不耕起だと根穴が残り、
土の乾燥が進む。
それに生物多様性が向上しない、と。
ただ「不耕起」のみでなく、
他の技術と組み合わせて考えないと
うまくはいかない、
ということと理解した。
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