logo

BLOG

エビちゃん日記

2026/05/01
  • 脱原発・自然エネルギー
挽歌

前回のブログで
自然エネルギーの推進を提唱したが、
この分野に対する評価では、
どうも残念な捻じれが生じて
しまっているので、補足しておきたい。

太陽光や風力発電に対する反論や
批判は、事実を正確に捉えてないものや、
もはや「神話」としかいいようがない
時代遅れの主張が多いが、
見過ごせないのが、
3.11後の急速な普及によって現れた
自然エネ発電施設による「自然破壊」
という事象である。

とくに問題なのが、その地域とは
何の関係もない(ときに怪しげな)企業
が土地(特に山林)を買い占め、
売電目的でメガソーラー建設に着手して、
地元住民や環境団体が反対するという、
悲しい現象が各地に生まれたことだ。
ここ函南町でもあった。

地域の合意形成を経ない投機的な
乱開発が、「自然エネルギー」開発
という名目のもとで進行し、
残念ながら行政としても、
対応は後手に回らざるを得なくなる。

しかしこれは太陽光発電という
エネルギー技術の問題ではなく、
政策設計の「穴」と
土地が荒れていく地方の現状に
起因する、
いわば長年の国家政策のツケに
ツケ込まれたようなものである。

前回紹介した『Ei革命』の著者、
飯田哲也さんと
全国各地から立ち上がった
自然エネルギー創出者たちで設立した
全国ご当地エネルギー協会
が目ざすものは、
エネルギーの地域自給と循環、
それによる新たな雇用
(原発に代わる仕事)づくり、
つまりはロバスト(強靭で柔軟)な
地域活性化であり、
「エネルギー民主主義」
を実現させるプラン、である。
これを「おだやかな革命」と
言ってくれた映画監督もいた。

どうかご理解いただき、
明日に向かっての議論に
たくさんの人が参画してほしいと
願う次第です。

 

あれから15年・・・と
悶々としてしまった季節に
始末をつける意味で、
この本を紹介して、
区切りをつけたい。
というか、こいつこそが
僕を悶々とさせてしまった
張本人だったので。

青木理(おさむ)著
『百年の挽歌
 -原発・戦争・美しい村』
(集英社刊)。

 

2011年4月11日。
震災からちょうど1ヵ月後の深夜。
福島県飯舘(いいたて)村で、
明治生まれの102歳の古老が、
首をくくって自死した。

福島県北部で、浜通り(太平洋側)
と中央部(中通り)を結ぶ
長閑(のどか)な高原の村。
「なにもない村」と言われながら、
日本で最も美しい村
に登録された「までいの村」である。

けっして楽ではない暮らしに、
戦争のつらい過去も背負いながら、
土地に根を張って暮らしてきた
100年余の人生を、
自らの手で終わらせしめたものは、
原発事故である。

原発立地に関与したわけでもなく、
その恩恵にあずかったわけでもない、
原発から北西約40kmの村。

事故直後は避難してきた人たちを
受け入れ、労(ねぎ)らった村人が、
事故から一か月経って、
全村避難を国から命令された。

己れの汗の結晶ともいえる田園を
眺めて過ごす、そんなひと時を
ようやく得るに至った人生。
その土地と人生が、
もろとも「汚染」されたと言われ、
避難(退去)を強制されるという、
そこでうごめいた心境のほどは
僕には到底想像できない。

イヤなものを見ちまった・・

古老はそう言って、
先立たれた奥さんとの
思い出深い箪笥の取っ手に、
ためてあったビニール袋を
編んだ紐を結んで、
自らの首を絞めた。。。

その義父に大事にしてもらった
という嫁・美江子さんへの取材を
もとにこのルポルタージュは
構成されているのだが、
さらに読む者を苦おしくさせたのは、
末期ガンで相馬市に入院していた
夫が強制退避によって
あちこち引き回された結果、
新潟の病院に収容されるという
事態が並行したことだ。

息子がガンであることを知らせず、
新潟で落ち着いたから大丈夫だと
義父を安心させながら、
父を気遣う夫には
その死を知らせまいと
「女優になる」と決意する妻。。。

美江子さんは二人が亡くなった後、
悩みぬいた末に、
損害賠償請求訴訟を起こす。
お金ではない償いを求めて。。。

美江子さんは、この地を守っていこう
と、飯舘村に戻った。
しかし「美しい村」は戻らないことも
心の底で承知している。。。

 

こんなことが日本で起きたことを、
忘れないようにしたい。

たしか当時、
「原発事故で死んだ人は一人もいない」
と公言したのは、
いま人気の総理大臣である。
読んでもらいたいものだ、この挽歌を。

どれだけの人が亡くなり、
ふるさとを失い、どれだけの人が
心の傷とたたかっていることか。。。

 

長くなりました。
ようやく次のネタに進めそうです。

お問い合わせ

Contact

商品、委託加工、
その他ご不明点につきましては、
お気軽にお問い合わせくださいませ