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エビちゃん日記
- 食・農業・環境

3月のあいだ気になり続けたこと
三つめはやっぱこれ、
コメの価格高騰、ですかね。
昨年8月にコメが店頭から消える
という事態が起きて、
メディアはこれを
「令和の米騒動」と名づけて
報道するようになりましたが、
事態はまったく収束することなく
今日に至っています。
この間の動きはまあ
散々報道されているので
割愛するとして、
僕が気になってしょうがないのは、
コメのそもそもの生産力(地力)と
総合的な自給力の衰退、
そして国土環境の劣化です。
価格高騰を想定した
新規参入者も含めた買い占めとか、
「業者の売り惜しみ」だと分析して、
新米が出始めれば落ち着くと考えた
国の計算は、証明されませんでした。
遅ればせに決断した備蓄米の放出も
価格調整力はなく、
市場は前年の倍近い値をつけて
推移しています。
そして流通から外食・中食業界は、
輸入米を調達し始めています。
眺めながら感じていたことは、
確実にコメの生産能力自体が
減退してきた、それも加速的に、、、
と、そんな不安です。
農家の高齢化に伴う減少は
加速度的です。
これはもう30年以上前から
警鐘が鳴らされてきた課題ですが、
この国は「産業政策」としてしか
農業を見てきませんでした。
規模拡大とか経営の合理化とか、
昨今はIT活用とか、
責任は世間にあるがごとく・・・
いったいなんで日本人は
コメを大事にしてきたのでしょう。
補助金を出して家畜飼料用のコメ栽培
を誘導してきた政策が後退すれば、
畜産の自給力にも影響が出てきます。
エサも肥料も他国に依存し、
ひっ迫してきているというのに。。
今年の新米はすでに買い漁りの
予想を呈しつつあり
(それだけで業者は走る)、
国が放出した備蓄米の「買い戻し」は
おそらく難しいでしょう。
減反政策はじめ、
ずっと単年度の数字を根拠に、
需給調整をしてきた農政の破綻は
明確です。
コメはたんなる一食料品ではなく、
コメを育てる田んぼは
日本列島の水利調整や環境保全に
重要な役目を果たしてきた装置であり、
この国の生物多様性を育んできた
「環境」でもある。
そのことを忘れ、経済論理だけで
国民の健康を保証できると思うのは、
国土保全を軽んじ、
「食糧安保」の歴史的教訓も忘れた
亡国の政策としか言いようがない。
コメは輸入できても田んぼは輸入できない。
食料は輸入できても環境は輸入できない。
この当たり前の議論が、
今まったく聞こえてこないのが悲しい。
4月に入り、丹那も春です。
美しい景色は本来、
「観光」のためにつくられる
ものではない。
人の日常的営みと自然とが
調和して形づくられてゆく
「美」のはずだ。
人の自然観が退化すれば、
自らの生存基盤も衰えていく。
「景観」とは、
その土台の生命力を測る
指標なんだと思う。
コメの値段に右往左往しながら、
その基盤である「田んぼの価値」に
光を当ててほしいと、
つくづく思うのであります。
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