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店頭から米がなくなる、の既視感

2024/09/03
  • あんしんはしんどい日記
  • 食・農業・環境
店頭から米がなくなる、の既視感

もし会場からの質問が許されたなら、
石破さんにはもうひとつ、
聞いてみたいことがあった。

べつに「石破さんに」というワケでなく、
すべての議員に問いたいことだけど。

 

いま巷のスーパーでは、
コメがなくなっている。

函南の、僕が利用しているスーパーでも
こんな有り様だ。

何でこんな状態になってしまったのか?

 

消費が減ってきたとはいえ、
依然この国の人々にとって、
米は重要な食糧源である。
しかも、国土の地形を活かし、
水資源を守る永続的農業としてあった
水田稲作は、数千年にわたって
この列島の人々の生命を支えてきた。

日本にとって
コメは潤沢に作れる作物である。
しかし今、早場米の産地には
仕入れ業者が殺到していると聞く。

そして間もなく新米が出回るという
ときにあっても、量販店では
値上しても、あっという間に
棚からコメが消えていくという事態だ。
何でこんなことになってしまったのか?

政府は流通在庫があると踏んでいる。
だから需給はひっ迫してないと言い張る。
つまりさらなる値上がりを期待して、
どっかの倉庫に眠っているというのだ。
だから政府の備蓄米(91万トンある)も
放出しない、という。

しかしどうも、この現象を解くには
様々な観点から見る必要がある。

もし民間備蓄があるとしても、
それはおそらく販売先との契約で
残してあるものが多いのではないか
と思われる。
産地と契約していない、
あるいは価格だけで仕入れていた
業者に、在庫はない。
これが現状ではないかと思う。

仮に(儲けるために)値上げを待って
抱えていても、新米が出回り始めれば、
台風や南海トラフ情報で買いだめされた
家庭在庫も相当量あるはずだから、
いずれ値崩れすることが想定される
(今年が豊作であることが前提だが)。

これは1993(平成5)年の
「平成の米パニック」の教訓でもある。
94年は大豊作で、
大量の流通在庫が放出され、
激しい値崩れが発生した
(お蔭で消費者は振り回された)。

政府の備蓄米を放出しろという
声もあるが、この備蓄は古米であり、
ほぼ業務用(外食や加工向け)である。
しかも政府(政治家・官僚)の
民間への不信感がそれを妨げている。
哀しいかな。

 

昨年、政府が発表した作況指数は101。
つまり平年並みということだったが、
新潟などでは高温による品質低下が顕著で、
主食用の良質米は昨年から
ひっ迫が予測されていた。

総量だけでの、しかも短期的需給調整。
長らく続けられた減反政策
(米を作らせない政策)の結果が
今の状況を生んでいる。
そう考えるのは僕だけではない。

つまり僕らの食生活は、長年
「猫の目」と言われ続けてきた
農政によって振り回され、
スーパーに走らされているのだ。
しかも今は、忙しい人は開店前に
並ぶことすらできない。

農林行政には力を入れてきた
という政治家なら、
今の状況を何と解説するのだろうか。

 

気候変動の影響に加えて、
化学肥料の原料枯渇と高騰。
そんなこともあいまって、
世界の食糧需給は
さらに厳しさを増していく。

そんな中でひたすら生産基盤を
衰えさせていく国ニッポン。

農民を前に
「自給率を上げる」
「農林漁業を守る」
とリップサービスするのはいいけど、
「国家」を防衛したいなら、
国民生活を守るための
ホンモノの「食と環境を守る」
ための政策転換が必要である。

どうでしょうか石破さん、
いや政治家諸君!

 

赤とんぼ じっとしたまま 明日どうする(風天)

 (森英介著『風天  渥美清のうた』/大空出版刊  より)

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