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「海洋放出」という無謀さについて

2023/07/23
  • 丹那牛乳&酪農王国オラッチェ
  • 脱原発・自然エネルギー
「海洋放出」という無謀さについて

東海地方の梅雨明けが宣言された
(正確には「明けたと思われる」だけど)7月20日、
夕刻の丹那盆地を囲む山裾から、ヒグラシが聞こえた。
また一人(匹?)、夏の役者の登場。

朝はクマゼミのシャーシャーシャーシャーで目覚め、
強い日差しに照らされながら汗をかき、
夕はヒグラシのキキキキィ~の木霊(こだま)でなごむ。
ここに扇風機とスイカがあって、ランニングシャツで坊主頭の
素直で優しくてちょっとおバカな少年がいれば、、、
これぞ私にとっての、「昭和の夏」の原風景でありますが。

22日からは学校も夏休みに入って、
オラッチェ夏の名物「とうもろこし畑の巨大迷路」も忙しくなってきた。

しかしこの夏といえば、僕の中で気になっているのが、
政府が「夏ごろまでには~」と匂わせてきた1F(福島第一原発)の
「処理水」(汚染水)海洋放出、である。

「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」
と漁民に文書をもって約束したものだが、
IAEA(国際原子力機関)の「人や環境への影響は無視できるほど」
との報告書を、「安全のお墨付き」を得たものとして、
おそらくは「理解が得られないまま」であっても
「説明は尽くした」となって、強行するように思えてしょうがない。

連立与党を組む公明党からの「夏休み期間は避けて」という要望にも、
「それではかえって不信感を持たれる」と、強気である。
どう見ても、やる気のようだ。

ならばワタクシとしては、一介の国民ではあっても、
いや国民だからこそ、
現時点での海洋放出にはあくまでも反対であることを、
表明しておきたいと思う。

理由はいくつもあるが、
自分が思うところの主たる論点を3つ、挙げておきたい。

1.元を断つのが先、ではないか。
地下水の流入等によって、いまも日量約90トンの「汚染水」が、
毎日発生している。これはこの先も続く。
出しても出しても入ってくる状態で、
「これしか方法がない」とは、付け焼刃のままでの「判断停止」ではないか。
こういう人に「リスク管理」を任せていいのだろうか。

遮断する方法が、これまでいくつも提案された。
しかし海洋放出以外をすべて却下したのは、
ただたんに「費用」(コスト)の問題のように思える。
事故対策の「技術開発」の道を断って、
手っ取り早く「流す」に流れたとしか思えない。
発生を止められないまま、「処理水」と称して海洋放出するのは、
問題先送り(=無責任)の「垂れ流し」政策ではないか。

2.薄めればいい、という問題ではない。
この先いったい何年、放出が続くことになるのか。
どれだけの「総量」となるのか、誰も計算できない。
政府と東電は「廃炉完了となる(目標の)2051年まで」と言うが、
あと30年で廃炉完了になるとは、
おそらく政府関係者はおろか、専門家ですら
誰一人として信じていないだろう。
とんでもない長い時間を要する可能性もある。

また「薄めれば問題ない」とは、
農薬や食品添加物でも設定されている安全基準みたいなものだ。
慎重な試験の積み重ねによって得られた
「この濃度以下であれば健康リスクは起きない」
というのが各物質に対する「科学的判断」ではあるが、しかし、
足し算をしていった先のリスクは誰もわからない。

一つ一つの添加物や農薬には安全係数がかけられていて、
規定通りに使用すれば、いわゆる「安全」となる。
しかしたとえば、日本人が年間摂取する食品添加物の「総量」は、
たしか5㎏ほどだったか(摂取量には個人差もある)、
累積されていくことによる影響がないとは、誰も証明できない。
「因果関係が立証されない」だけのことだ。

しかも海洋放出とは、広く生態系への流出・浸透であって、
いったん出されたものは回収(対策)不能となる。
責任の取りようがなくなるのだ。
それでもやるか・・・

ちなみに、いま1Fで進められようとしている「廃炉」工程の
怪しさについては、この本が分かりやすいので、お勧めしたい。
『廃炉とは何か』(尾松亮著、岩波ブックレット、80頁、620円+税)

日本でやろうとしていることは、「チェルノブイリ以下」である。
「深刻な怠慢」「先例から学ぶ姿勢の欠如」・・・
情けなくなるような解説が刺さってくる。

3.海洋放出以外の策を検討すべきである。
上記1の対策を徹底検証するまでは、貯めるべきである。
貯める場所は、2F(福島第2)含めて、まだある
という見解が抹殺されている。
また、村井宮城県知事が「海洋放出以外の方法も検討すべき」と
国に申し入れたそうなのだが、報じられることはなく、
完全にシカトされたようだ。

もし海洋放出を強行突破するなら、それは
「原発を是とする科学」の助けを借りた「政治的判断」である。
ならば僕は科学者ではないけれども
(まあいちおう「社会科学」を学んだ者として)、
「反対」とだけは意思表明しておきたい。

しばし待つ、そして議論を尽くす、
それが人と生態系の安全を守る上での「予防原則」であり、
「未来への責任」だと思う。

もうひとつ付け加えるならば、
漁民(=国民)への「約束」をどう考えているのか、だ。
見定めたいと思う。
いまのこの国の「政治の質」が分かるような気がする。

先日のブログで紹介した先崎(まっさき)千尋さんが、
協同組合新聞に書かれた記事がある。
先崎さんからは、掲載前に原稿も送られてきていた。

町長を辞してもなおたたかい続ける姿勢に敬意を表し、
かつ見習いたいと思う。
そこには「責任」の自覚があると思うのである。
ご一読を。

https://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2023/230721-68242.php

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