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みかんジュースの季節に

2024/01/18
  • あんしんはしんどい日記
  • 日々日々フルーツバスケット
みかんジュースの季節に

正月元旦の地震から2週間以上
経過したというのに、
能登半島にはまだ孤立集落が残っている。
死者は200人を超え、
1万7千人強の人たちが避難生活に耐えている、
冬の北陸で・・・。
被災者も支援者もどうかご無事で、と祈るしかない。

そして昨日(1月17日)は、
阪神淡路の震災から29年の日。
追悼だけでなく、現地から出る言葉が
「あの日の恩返しを・・」と、
能登への支援につながっていることに、感動する。

その間には、東日本大震災と原発事故があり、
熊本地震もあった。

改めて、この国の民の
レジリエンスの強さを思う。

 

レジリエンス(resiliense)
 - 柔軟に回復していく力。

危機を生きぬく知」と定義した共同執筆書もある。
レジリエンス人類史』。

「設定外力を超えた災害事象は起こるものであり、
 ハードは壊れるものであり、被害は出るものである」
 (奈良由美子氏「災害レジリエンス」の項から)
その前提に立って、未来社会を思考したいと思う。

ヒトはどうやってヒトとなり、
生態系ピラミッドの頂点に立てたのか。
いや、頂点に立っていると思うこと自体が不遜な考え
だけれども、地球と生命のシステム原理を、
少なくとも知識として把握しつつあるというのに、
国家・民族・宗教といった境界を超えられず、
凄惨な争いを繰り返してしまうのはなぜなのか・・・

500ページを超えるタフな論文集だけど、
興味を持たれた方は、
よかったらチャレンジしてみてください。
つまみ食いでも結構かと-

 

いっぽう地球の反対側からは、
こんなメールが届いた。

「紅海を無事通過しました。」

アメリカからの飼料用コーンが今、
ミシシッピ川からパナマ運河を通行できなくなっていて、
やむなく逆回り、大西洋から地中海を経て、
スエズ運河経由で日本まで運ばれている。
(注:メールは、日本向けに非遺伝子組み換え
 コーンを農家と契約している商社の方からです。)

原因は、干ばつである。
雨期になっても雨が降らず、水位が低下し、
パナマ運河は運航を制限せざるを得なくなっている。

針路が逆になるだけでも
おそるべきコスト・アップだが、
さらに難関なのが、世界を緊張させているあの地、
中東・「紅海」である。

攻撃あるいは拿捕される危険性を押して、
日本の飼料用コーンは運ばれている。
その背景に、地球温暖化による気候変動がある。

エサが途絶えれば、肉や卵はどうなるのだろう。
もはや価格ではない、手に入らなくなるのだ。
それがどんな社会か、僕らは想像しなければならない。
しかもその輸送自体が、
温暖化に貢献しているとしたら・・・
やはり僕らは足元を見直さないといけない。
そんな時代に入っている。しかも、今すぐに、だ。

 

・・・とまあ、社長が眉間にしわ寄せて
嘆いている間にも、
我がフルーツバスケット従業員は、
日夜黙々と仕事に励んでくれている。

FB(フルーツバスケットの略)の冬は、
「手むきみかんジュース」の季節。

自社製みかんジュースだけでなく、
いやそれ以上に、他社や生産団体からの
ジュース製造の依頼が入る。
他社ブランド製品をつくる、いわゆるOEM製造である。

前日、原料みかんが届けられ、
翌日にはオリジナルのラベルを貼った
「みかんジュース」となって引き取られていく。
依頼主は神奈川から静岡西部・浜松までまたがる。

みかんの正品を青果として売るだけでなく、
規格外品を自社ブランドの加工品に変えることで、
付加価値も生まれる。
そんなお手伝いができることが嬉しい。
しかもこれで、無添加ジュースの輪が広がるのだ。
みんな、頑張って売ってねぇー、
来年も待ってるよ~、って感じ。
こうやって、少しでも
みかん山が守られていくことを信じて・・・

課題は、製造能力の限界である。
今年ももう、3月上旬まで製造計画が埋まって、
新たな依頼を断るという、
欲深い経営者としては、
許し難い事態となってしまった。

 

一個一個、丁寧に皮を剥いていく。
ここは熟練パートさんたちの世界だ。

 

今年の冬はなんと!
この仕事に、新しく高齢の男性が応募してきた。

70歳まで建設会社を勤め上げた方に、
夜は居酒屋で料理人として働きながら、
ダブルワークで稼ぎたいと申し込んできた
60歳前の方、2名を採用した。

応募動機や背景は、深くは聞かない。
ただ、したたかな女性陣に囲まれて、
ちゃんとコミュニケーションを取れるかどうか、
だけが気になったけど、
今のところうまくやれている。
イジられるくらいになったら、安心だ。

 

そして残渣として出る皮や搾りかすは、
すべてその日のうちに車で5分ほどの
地元・丹那の堆肥場に持ち込む。
これも我が社の譲れないコンセプトである。

 

静岡ブランド「丹那牛乳」の牛舎から出てくる
牛糞を良質の堆肥に変え、土に還す。
そこでつくられる野菜は
無農薬・無化学肥料栽培をモットーとし、
「函南めぐり野菜」というブランドで
地元で消費される。

その循環のなかに、僕らのジュースもある。

 

僕らのジュースは、
SDGs なんて政策的造語が生まれる前から、
環境と食の安全という使命を忘れずにやってきた。
そんな自負がある。

 

レジリエンス(回復力)の前に、
サステナブル(持続可能性)を。
エシカル(倫理的消費)の前に
当たり前のサーキュレート(循環型)を。

そんな話ができる商品であることを、
誇りに思いたい。

おやすみなさい。

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