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みんな元気になるトイレ

2024/02/02
  • 震災復興
みんな元気になるトイレ

能登半島を襲ったMT7.6の地震から一ヵ月。
死者数238人、安否不明者19人、
避難生活を強いられている人は1万4千人以上
といった数字が報道されている。

さすがに孤立集落はなくなったが、
それでもまだ5万戸近くが断水のままだ。
復旧には1ヶ月以上かかる地域もあるようである。

水の遮断はいのちに関わる重大事である。
給水車が来れば飲料水は何とか確保できるが、
厳しいのはやっぱ、トイレだね。

避難所に届いた簡易トイレが、工事現場にあるような
古い和式スタイルのもので、
膝の悪い高齢の女性が「これじゃできない」といって
引き返す場面などニュースで見ると、
こっちまでつらい気分になってくる。
またこのタイプは衛生面や安全面でも不安が残る。

 

そんな折りしも、ある記事が目に飛び込んできた。
避難所に、全国各地から
トイレ・トレーラーが集結してきているという。
その名も、「みんな元気になるトイレ」。

忘れていたわけではないが・・・
いや何もしないのは忘れていたも同然か。

このトイレ・トレーラーを開発した中心人物が、
(株)ドリームデザイン代表の石川淳哉さんという方。

編集者であり、デザイナーであり、
イベント・プロデューサーでもあり、また
一般社団法人「助けあいジャパン」の共同代表を務め、
災害派遣用トイレ・トレーラーを
すべての自治体に配備しようと
全国を飛び回るソーシャル・アクティビストである。

6年くらい前だろうか。
僕は石川さんの講演を聴き、その勢いで一緒に飲んだ。
石川さんが災害地派遣トイレを考えたきっかけは、
東日本大震災でのボランティア活動だったが、
アイデアは具体的なトレーラー開発に発展し、
講演では、自身のキャリアよりこれからの、
全国にこのトイレを配備するプロジェクトについて
熱く語られた。

以来、石川さんからは
定期的に活動報告がメールで送られてくるようになった。

 

この災害派遣用トイレ・トレーラー
「みんな元気になるトイレ」が最初に配備されたのが
2018年、場所はトイレットペーパー製造量
日本一を誇る静岡県富士市である。

https://www.city.fuji.shizuoka.jp/safety/c0101/rn2ola0000015oo1.html

これまでに19の市町村に導入され、
能登地方ではいま、18台が活躍している。

そう、ただ非常時のために自治体に置かれるのでなく、
災害地に派遣する “ 助け合いネットワーク ” を
構築することが、この活動のキモなのである。


(富士市HPから拝借)

トレーラーには4室の洋式の個室が設置され、
手洗いもできる広さがある。
汚水タンクが満タンになるまで
4室合計で1200~1500回使用できる。

断水の状態にあっても、
給水所や下水道が壊れてない場所と往復できるし、
太陽光発電にポータブル発電機も備えられているので、
もちろん完全ではないにせよ、
ライフラインの状況に左右されない
優れものになっている。

導入するにあたっての最大の難関は、
その費用が約1500万ほどかかることだが、
総務省消防庁が用意している
「緊急減災・防災事業債」の仕組みを利用すれば
7割が返済不要となり、残りの3割を
ふるさと納税型クラウドファンディングで集めるという
手法が多くの自治体でとられていて、
目標額達成! のケースが続々と現れてきている。

 

いま能登を走り回っている石川さんの
心境は、どんなものだろう。
感謝される反応に喜びながらもおそらくは、
「もっと頑張って増やせなかったのか・・」
といった忸怩たる思いも
湧いているのではないだろうか。

 

忘れてはいなかった。
忘れてはいなかったけれど、
なにも応援できていなかった自分の
ふがいなさも恥じながら、
少しずつでも動き出してみたいと思う。

自然災害はいつ何どき発生するかわからない。
「ここで起きるとは思わなかった」
「対策が遅れた」では済まないのが災害であり、
しかも温暖化とともに被害が甚大化していく時代。

避難時の健康とライフ・クオリティ(生活の質)を
維持させるために、
また衛生保持や感染症対策の上でも、
トイレ対策の備えはやっぱ必須だと、
災害のたびに思うだけでは、、、ダメだよね。

皆様の地域でもいかがでしょうか。
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