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メンマ開発手法の違いについて

2023/08/20
  • あんしんはしんどい日記
  • 竹林再生
メンマ開発手法の違いについて

台風7号は西日本各地に甚大な被害をもたらして
日本海に抜けた。

しかし台風が去った後も、湿った空気が流れ込み
静岡市では竜巻が2回発生した模様。

海面水温の高さが雨を増やし、災害を大きくする。
アウターバンド(台風の外側に発生する降水の帯)が
線状降水帯を発生させ、台風の目から離れたところでも
豪雨をもたらす。

16日朝になって富士川の雨量計が規制値を超えたため
東海道新幹線・東京―大阪間がストップし、
お盆からの帰省客に大混乱を与えた。

13~15日に計画していた福島・浜通りへの小旅行
(いわきから浪江まで車で走るプランを立てていた)は
10日夜に中止を決めたが、
14日には「これだったら行けたなぁ」と舌打ちし、
16日には「中止してよかったか」と胸をなでおろした。
台風による災害規模が年々大きくなってきている感があって、
行動計画の実行もどうも慎重になってしまう。

15日に各地で予定されていた戦没者慰霊式典や平和集会も
中止が相次いだ。
8月だけ平和の祈りを捧げてもね、という皮肉は置いといて、
今年はむしろ8月9日の長崎市長の平和宣言が心に残った。

16歳で被爆し、6年前に88歳で亡くなられた
谷口稜嘩(すみてる)さんの言葉を引いて、
今の国際情勢を憂えた。

「過去の苦しみなど忘れ去られつつあるようにみえます。
 私はその忘却を恐れます。
 忘却が新しい原爆肯定へと流れていくことを恐れます。」

この言葉は、原発依存に回帰する今にも
そっくりあてはまるように思ったのだった。

 

8月18日の丹那盆地。

台風一過後も猛暑が戻り、
灼熱の日差しが皮膚に突き刺さってくるけど、
季節は確実に収穫の秋へと向かっている。

 

さて、8月2日の竹イノベーション研究会の例会と、
11日の静岡での竹林団体交流会に参加して、
感じたこと、分かったことを書き留めておきたい。

いま全国各地で、放置竹林対策としてメンマの開発に取り組む
団体が増えてきているが、それら「ご当地メンマ」と、
我々が取り組んだ「伊豆の里山めんま」には、
決定的な違いがあることを、改めて感じだ。

多くの「ご当地メンマ」は「放置竹林」の対策として生まれ、
幼竹の収穫から製造(皮むき・カット-塩漬け・発酵-
塩抜き-味付け-袋詰め)まで、ボランティアを含めて
自力で行っている。
それはそれで素晴らしい社会活動ではあるけれど、
やや気になるのはそこに地域の農家の姿が見えてこないことだ。

それに対して、僕らのメンマは、原点の思いは同じでも、
プロをネットワークさせて作ったものである。

幼竹の収穫はタケノコ農家が行ない、
タケノコと一緒に農協に出荷する。
なので収穫現場は放置された竹林ではなく、
毎年立派なタケノコが生える
「管理された竹林」ということになる。

ここ丹那でも、かつて30数軒あったかタケノコ出荷農家が、
今では10軒に満たなくなった。
しかも高齢化が進んでいる。
この山(竹林)もいつまできれいに維持できるかねぇ・・・
という人たちだ。この人たちに副収入を与えて
経済的に成り立たせること、そして
一人でも後継者が育つことを考えなければ、というのが
「メンマ」にかけた僕の思いだった。
つまりは、タケノコ農家(=ちゃんと管理された竹林)を
維持させることから始めよう、ということだ。

その幼竹を集めて水煮にするのをお願いしたのは、
静岡市のミヤハラフーズさん。
「静岡県産タケノコの水煮」の原料として、
ずっと当地のタケノコを集荷してきた実績がある。
そして味付けをお願いしたのは、日本橋の遠忠食品さん。

いずれもプロの加工業者で、我が社ではミヤハラさんの
「国産有機タケノコの水煮」の販売に協力しているし、
遠忠食品さんはすでに「国産メンマ」(原料は愛媛県産)
という自社ブランド(NB)品を持っている。

彼ら同業者を除外し、競合する形で進めるのではなく、
むしろ竹林保全に協力する仲間として引き込み、
彼らの商いにも寄与する形で進めるほうがいい、と考えた。
もちろん、そのほうが早く進むし、製品としても
間違いないものになる、という計算もあってのことだけど。

いずれが正しいというのではない。
国産メンマの市場を広げていくには、
いろんな形や方法があっていい。
しかし国内の竹林が放置され荒れていくなかで、
タケノコの9割が輸入(自給率10%)という惨状を
巻き返すには、既存の事業者(プロ)を変えていくことも
必須のテーマだと思うのである。

考えれば、いや改めて考えるまでもなく、
これは、大地を守る会時代に学んだ思想と手法である。
僕はずっとそうやって農家やメーカーと付き合ってきた。
おそらくこれからもずっと、
このスタイルを変えることはないだろうと思う。
それが自分なりの「ポジショニング」というヤツだ。

これでどこまで大きな社会課題の解決に貢献できるか、
まあ、やり続けるしかないと思ってる・・

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