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土壁(つちかべ)工法

2023/07/28
  • かんなみ百景
  • 雑記その他
土壁(つちかべ)工法

いやぁ、それにしても暑いっすね。
「大暑」の真っただ中とはいえ、暑すぎです。

車のドアを開ければ息苦しいほどの熱気に包まれる。
いつの間にか侵入していた小さな虫が干からびて死んでいる。
天井がソーラーパネルだったら、
どれだけのエネルギーを蓄えられたことだろうかと思う。
そういう車、出てこないものか。
課題はパネルの軽量化と蓄電技術なんでしょうか。

スペインは地中海側、バレンシア州に
夫婦で移住した古い友人がいて、
「こちらは猛暑ですが、そちらは熱波とかきてない?」
とメールを送ったら、
「熱波の連続で、あちこちで山火事が発生している」
と返ってきた。
「それでもギリシアほどではない」と。

日本ではほとんど報道されてないように思うけど、
南ヨーロッパはひどいことになっているらしい。

もしかして、あと戻りができなくなるといわれる
「ティッピングポイント」(気候変動の転換点)を、
人類は今まさに越えつつあるのではないか・・・
そんな気さえしてきます。

ま、そんな危機感は危機感として、
遅ればせながらではあるけれど、7月の出来事をひとつ、
記録として残しておきたい。

ある日、突然一通のメールが入ってきた。
差出人は「一般社団法人やおろず舎」代表の
柳沢琢美さんという方から。

春に函南町畑毛(はたけ)という場所に越してきて、
現在、移り住んだ築50年の民家をリフォーム中。
「16日に土壁が完成するので、見に来ませんか」
という内容である。

「やおろず舎」という社名が少々怪しい、
いや失礼、面白いと思ってHPを見させていただくと、
東京の厚木を拠点に、竹林を含めた森林整備の活動や
各種のワークショップをやってこられた方だと分かった。
いわゆる「自然派アクティビスト」に属する方か。
しかも、メンマまで作っている。

どうやら函南に越してきて、
いろいろと情報収集するなかで「伊豆の里山メンマ」を見つけ、
コンタクトをとってきた、ということらしい。

土壁工法については上っ面の知識しか持ち合わせてないこともあって、
後学のためにと、参加させていただくことにした。

7月16日(日)午前9時40分。
単身赴任アパートから車で10分もかからず、
「やおろず舎」-柳沢邸に到着。

古民家っぽいたたずまいを想像していたが、
モダンで、すごく奇麗にリフォームされている。
外壁の木には柿渋が塗られている。

見学者は10人ほど。
すでに作業が始まっていたので、
ご挨拶もそこそこに、さっそく土壁塗りを見せていただく。

塗師は茅ヶ崎で土壁専門の「湘南ウォールデコ」を運営する左官職人、池田和陽さんを頭に、
小田原と沼津から来られたという若い助っ人がお二人。

土壁塗りは一回では済まない。
3月に荒壁塗りをやって乾燥させ、
6月に「大直し」という2回目の塗りがあって、
7月2日に中塗り、そして今回が仕上げという工程である。

ベースとなる土は埼玉・深谷から取り寄せた「荒木田土」。
それに砂と水と、細かく刻んだ「ひだし苆(すさ)」と呼ばれる
ワラを混ぜる。どちらも初めて聞く材である。

荒塗と中塗り、仕上げでそれらの配合も変われば、
ワラの細かさも異なる。


(ひだし苆。右が仕上げ用)

土壁には湿度調節効果があり、冬には蓄熱効果もある。
何より最後に、ゴミにならない(土に還る)。
伝承されてきたエコな技術であるが、継承者は少ない。
住宅産業が「安い&効率」優先で、半世紀にも満たず
膨大なゴミを出す現状を、左官職人たちはどう眺めているのだろうか。
聞き忘れた。

 

土をこねる池田師。

いよいよ仕上げの塗りにかかる。

左官職人の手さばきに魅入る。
ずっと見ていても、見飽きない。
本当にきれいな表面に仕上がっていくのだ。

僕は今日から、車のワイパーが左右に動くたびに、
この左官屋の手さばきを思い出すことだろう。
愛車「プリウス α 」のワイパーでは、こうはいかない。
AIロボットでも、これは真似できない。
そこには何か、決定的に深い「壁」のような距離がある。
ヒトは「それ」を大事にしなければならないと思う。

「それ」とは、「匠」が「匠」となるまでに紡がれてきた「心」
というような、不確かな表現になるだろうか。
その「心」は、人や自然への想いとつながっている。
そこにこそ、技術手順(マニュアル)ではない、
「文化」というものが潜んでいる。
「文化」を失ったとき、人はマニュアルの奴隷となる。
もしかしたら、組織も同じようなものかもしれない。

 

柳沢邸の裏にもう一つ、もっと古い民家が残っている。
柳沢さんはこちらも、これから手をつけていく計画である。

その裏には竹藪が迫ってきていて、
手前の竹が1m伐り(竹を地面から1mで伐る)されている。

とりあえず手前に侵食してくるのを防ぎながら、
色々と竹の活用を考えていきたいと、柳沢さんは言う。

また一人、函南に「役者」が一人やってきた。
この「かんなみネットワーク」を育てていきたいと思う。

「土壁工法」はまだ当分「引き出しの一つ」のままだろうけれど。。。

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