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夢に向かってのKPIを-

2024/02/18
  • あんしんはしんどい日記
  • 日々日々フルーツバスケット
夢に向かってのKPIを-

2月16日(金)朝、
静岡新聞に掲載された一本の記事が
メールで流れてきた。

静岡新聞を購読している社員が見つけ、
朝一番でみんなに配信してくれたものだ。

昨年9月で退社して、故郷の熱海で起業した
Kくん、いや新聞に出てるので本名でいいか、
栗本遼くん(39歳-年齢も出てるんで、いいよね)
の、新会社の紹介記事である。

 

 

「株式会社 温まる合間に」

フルーツバスケットを辞める直前、
「会社を登記しました」と
新しい名刺を渡された時には、
正直、ちょっと引いたように思う。
数秒間、まじまじと眺めて、聞いてみた。
「どうゆー意味じゃ?」

リョー君はちょっと照れ気味に語ってくれた。
「温泉街の熱海で温まってもらって、
その合い間に楽しんでもらえるような商品や
コンテンツを作っていきたい、
そんな思いを込めて名づけました」と。

はは~ん、これはきっと、
奥様の命名かな?
(夫妻はともに元「大地を守る会」社員で、
彼は職場の多くの独身男性を敵に回して
彼女と結ばれたいきさつがある。)

いえ、妻にも「ヘンだ」と言われました。

驚いたね、
この男にこんな優しいセンスがあったとは・・・
僕はまだまだ人を見る目がない。

 

某有名大学を卒業して、彼は新卒で
「大地を守る会」に入社した。
以来7年働いたが、その当時から、
将来は地元・熱海に帰って
地域の活性化に貢献できるような仕事をしたい
と語っていた。

「大地を守る会」退社後は、
3年ほどNPO法人に入って
東北復興支援や起業支援の仕事を経験し、
いよいよ地元に帰ろうかという時、
僕は熱海の居酒屋に彼を誘って、口説いた。
「具体的なプランがまとまるまで、
 ウチで働けばいい。
 素材も見つかるし、人脈もできるはずだ」と。

そして我が社で働くこと7年。
主に品質管理と、地元の企業から頼まれ
継承した「牛乳寒天」製造部門の、
営業も含めた管理をやってもらった。

なかなかに優秀な人物で
(クソ生意気な一面もあったが)、
とくに工場でのHACCP(ハサップ、
食品製造における衛生管理の手法)の仕組みを
短期間で構築できたのは、ほぼ彼の力による。

 

フルーツバスケットでは毎年春に、
社員が自身で目標を設定して進捗管理する
「目標管理シート」を作成してもらうが、
彼にはとくに、
新しい事業プランを考える自身への宿題を
設定するよう指示した。

当世、世間の企業では
KPI(重要事業評価指標)なる言葉が
よく使われるようになった。
会社の事業の到達目標を具体的に設定して
結果を評価する仕組みで、
その目標にしたがって社員もまた
各人の目標を数値化するなどが求められる。

ボク的には従来の目標管理制度を
よりキツくしたようなものにしか見えないけど、
ここで彼に期待したのは、まあ言ってみれば、
会社業績に紐づかれた目標だけでなく、
「(自身の)夢に向かってのKPIを持とう」
ということだった。
いま思えば不思議ではあるけど、
僕は何でか、その彼の夢は、
会社の未来ともつながっていくだろうと
信じて疑わなかったのである。

 

結果的にその個人目標は、
日々の仕事に追われることもあってか
遅々として進まず、おそらく
彼の心の中はモヤモヤとした日々であっただろう
と推測するが、それでも間違いなく、
彼はずっと「その目標」を意識していた筈だ。
書いておく、は「忘れないこと」だからね。

そしてついに
「旅立ちたい」との告白を受けたのは、
一昨年の暮れだったか。
しかし年度末ではさすがに早すぎると、
半年待たせて、次の体制を準備した。

 

従業員一人、給料ゼロからのスタート。
そして一カ月ほどして、
リョー社長から仕事の「発注」が入ってきた。
ジャム、シロップの製造依頼である。

新たな取引先様になったのに、
ウチの社員は相変わらず「あいつ」とか、
「クリモト」と呼び捨てにしている。
それでもまあ、応援は惜しまず、
製品を引き取りに来た孤独な社長を励まして
見送る姿は、微笑ましい。

 

静岡新聞の取材に対しては、
元いた会社のPRもちゃんとやってくれている。

ペクチンや香料、着色料といった添加物を使用せず、
素材本来のおいしさ、色合いを最大限に引き出す
無添加の製法・・・
素材への熱負荷が少なく、フレッシュ感を生かせる
「低温真空二重釜」で丁寧に調理・・・
一緒に加える砂糖(テンサイ)、レモン果汁、
寒天はいずれも国産を使用・・・

よしよし。

 

リョー君はいま、
膨大な数の名刺を費消しながら
熱海近辺を飛び回る日々のようである。

今回の記事を見てメールした返事には
「祭事に店を出したけど、まったくでした」
ともあった。

「やってみないと分からない」ことは多い。
何事もトライ・アンド・エラー、
失敗は大事なんだと、
火星の植民地化を夢見るイカレた大富豪、
イーロン・マスク氏も言っておられる。

いやなにも火星の征服をたくらむ必要はない。
生まれ育った地域をシアワセにする、
それはけっして平凡な仕事ではないのだから。

まあ当面は「あったまる」どころではないようだ。
こちらも請求書を送ったからには、
火の車にならないよう、頑張ってもらわないとね。
目指せ! 夢に向かってのKPI達成を- だ。

 

このブログにお立ち寄りいただいた皆さま。
もし熱海に来られることがありましたら、
温泉で温まる合間に、いやできればその前に、
物産店などにもお立ち寄りいただけますと
嬉しく存じます。

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