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有機40年、森も育てる農園

2026/01/18
  • 日々日々フルーツバスケット
  • 生産者・産地情報
有機40年、森も育てる農園

フルーツバスケットは
この時期、農家や生産団体、
近隣の食品会社などから
依頼されたみかんジュース
の製造に追われます。

設定した製造日の前日に
原料が持ち込まれ
(当日早朝に運んでくる人も)、
その日の夕方には、
依頼者のオリジナルラベルが
貼られた、およそ千本の、
フレッシュな
「手むきみかんジュース」が
引き取られていきます。

なかには1シーズンに
2回も3回も製造を依頼
してくる生産者もおられます。

これを皆さん、
ネットを通じて直販したり、
直売所や観光施設などで
販売したりしながら、
翌シーズンのみかんの出荷が
始まる前には
売り切っているのだから
(賞味期限2年あっても)、
なかなかすごい人たちです。

直接販売する会員を
抱えている方もいれば、
地元の温泉旅館やホテルで
ほぼ完売という
猛者もおられます。

みかんとして売るだけでなく、
はじかれた規格外のみかんに
こうして付加価値をつけて
お返しし、喜んでもらえ、
経営に貢献できるのは
加工屋冥利に尽きる
というものです。

「加工の分野から
 日本の一次産業を応援する」。
設立以来掲げてきた
この看板を、
けっして汚すことなく
守り抜いていきたいと、
生産者の笑顔を見るたびに
思うシーズンです。

 

さて、そんななかでも
創業の頃から毎年欠かさず
製造を依頼し続けて
くれている一人が、この方。

島田市の「そのだ農園」さん。

写真右が園田家5代目、
園田巳義(みよし)さん。

大学を出て45年前、
東京から郷里に戻り、
お茶・米・みかんを栽培する
農家を継いだ。

学生時代から有機農業に惹かれ、
「日本有機農業研究会」に
出入りしたり、
ナショナルトラスト運動を
学びにイギリスまで行った
という好学の徒。

農園を継ぎ、以来一貫して
無農薬・無化学肥料での
茶・米・みかんの栽培に
取り組むだけでなく、
1990年には
「百年の森を育てる会」
を結成し、
近隣の森の維持・管理に
尽力してきた。
食の「地域自給」を目指して
大豆も育て、味噌の製造も
始めた。

 

1月12日、
休日を利用して訪ねたところ、
園田さん家族は
今年の味噌づくりに
追われていた。

園田さんの味噌を愛用する
人たちは、マイ甕(かめ)を
持参して味噌を詰めてもらう。
完成は一年後。
この日も現金をもって
引き取りにきた方がいた。

5年前には
圧搾一番搾りの菜種油に
日本酒「田の」まで
開発。

原料米は
「しまだ農園」6代目、
善明(ぜんめい)さん
(上の写真左)が育てた
有機栽培コシヒカリ。
昨今の「吟醸酒」傾向に
惑わされることなく、
米を削らず(精米歩合90%)、
室町時代の「菩提酛」を
復活させた原点回帰の酒。

一本買い求め、
飲んでみた。
濃醇で独特の酸味があり、
新酒なのに古酒のような
コクがあり、
大事にいただいた。

 

地域を大事に育てながら、
そこから自分の哲学を発信し、
器に会った規模の消費者と
連携して生きていく。

それが園田さんが選んだ
有機農業による世界への
「提案」の形なのだと思う。

帰りがけ、
6代目の善明さんが聞いてきた。
「他の皆さんは、ジュースを
 いくらで売ってるんでしょう」。

これまで800円で売ってきたが、
値上しないとやれないと
悩んでいるようだ。

僕の答えは
「1000円から1500円。
 自信をもって売ってください」

園田さんが今年つけた値段は、
その最低ラインの1000円、
にしたようだ。

買う側にも気遣う親子。。。

企業経営者なら
「原価計算くらいしろ!」
と舌打ちするところだろうが、
それがママならないのが
農業という生命産業の
ジレンマなのである。

一次産業というのは
資本主義経済の原理では
測れない深さを持っていて、
じつはそれによって
受益者(消費者)の暮らしも
守られてきたのだが、
冷酷な「お値段」の力が
互いの関係を歪めてきた。

それでも実直かつ堅固に
しかも楽しく、
「農の世界」を伝え続ける
そのだ農園。
その姿に希望を見る。

こういう人から長年に渡って
「仕事を任されてきた」
ことの重さを受け止め、
帰り路、次は
園田さんが育てる森も
見てみたいと
思ったのだった。

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