logo

BLOG

エビちゃん日記

トップ エビちゃん日記

「堰さらい」という協同作業から考える。

2023/05/17
  • 生産者・産地情報
  • 食・農業・環境
「堰さらい」という協同作業から考える。

5月4日、ゴールデンウィークも後半戦に入る。

コロナはまだ収束したとは言えないはずなんだが、
「行動制限」はすっかり吹っ飛んでしまったようで、
観光地はどこも盛況のようだ。

しかしそんな世情とはまったく、100%関係なく、
我ら「堰さらい」ボランティアたちは、
「激甚災害」に指定された山に入るのである。
少々の不安と、「やるしかないぞ・・」の覚悟をもって-

 

朝6時前あたりから一人、二人と起き出し、
だいたい起きたところで、朝食の準備に入る。
明日の朝は残りもので・・・と言っていたわりには、
ご飯に味噌汁、卵に納豆にお漬物に、残りもの色々(忘れた)と、
普通の民宿以上の朝食になるから、スゴい。
まあ僕はもっぱら、お運びさん。

 

片づけを終えて、朝8時、会館前集合。


(中央が大友治さん)

 

今年参加のボランティアは43名。
うち本木チームは15名。
各自フォークかスコップを持ち、軽トラに載せられて移動。

指定された「本木十七松」地点から作業を開始する。

 

約10メートル間隔で始め、
終わると作業中の人を追い越して、先端から作業を再開する。
ピストンではなくて、キャタピラーと言えばいいか。

数分やっては呼吸を整えながら、ひたすら前へと進む。
その繰り返し。。。

 

 

作業をしながら僕は今年、何を考えるだろうか・・・
なんて前夜は思ったが、いつの間にか、
何も考えてない自分がいることを自覚する。
ただやり続けるだけだ。
しんどいけど、辛くはない。
嫌なのは、汗の臭いでブヨが襲ってくることくらいか。

 

今年の難関は、土砂や倒木がどっさりと堰を覆った箇所だ。
写真では判別できないと思うので、
堰(水路)を赤線で引いてみた。
こんな感じです。

 

この被さっている奴らを掃(はら)いのけ、
溜まった土砂をさらっていく。

場所によって、溜まった土砂の下に、
デカい岩石が埋まっていたりする。
下の場所がそうだった(写真は休憩中の一コマ)。

落ち葉を掃ったところで、岩石が姿を現す。
ウオーッとか叫びながら、格闘する。
わりと快感だったりして・・・

 

きれいになった水路。どうでしょう。
達成感は、例年の作業とは決定的に違ったね。

 

ただ例年と違うことがもう一つ。
作業の距離が短かった。

「本木上堰」という名の水路、全長6kmのうち、
みんなで作業した距離はおよそ、その3分の1。
残りは作業不能ということか、あるいは地元の人たちだけでやる
危険地帯か。

初参加のおじさん(おそらく同世代)に聞かれた。
「いつも、この3倍やってるんですか。」
「そうですけど、まあ作業自体は例年のほうが楽です。
  こんな作業がもっと続いたら、ヤバいすよね。」

これが20年近く前に初参加して、ネを上げていた男のセリフである。
笑っちゃうね。

そこで分かったこともある。
問題は、慣れと、体の使い方である。
相応に高年齢化したはずなのに、疲労具合が違う気がした。
地元の方が、70代になっても淡々とやれているのは、
そういうことだと思う。
モノにするには、まだまだ来なければならないか。。。

 

作業終了後、早稲谷会館前の駐車場で慰労会。
ビールと豚汁が、うまい!

 

その後は、日帰り温泉「いいでの湯」に浸かって、
夜は交流会となる。

 

交流会は楽しくもあったが、
寂しかったのは、地元の人が明らかに減っていたことだ。

未来は険しいな。
険しいけど、今日のような作業から「希望」も生まれてくる。
それは間違いないはずだ。

どこまで付き合えられるか分からないけど、
大友さんや浅見さんが諦めない限り、来続けたいと思う。

見捨てるわけにいかない、ではなくて、
希望のヒントを見つけるために、だ。

僕の中でチラついているそれは、
「人類の協働」がもたらすホンモノの(劣化しない)生産性、
というようなものである。

まだつかめないでいるけど、
おそらくやった者でしかつかめない、
しかしみんなが日ごろやっていることの中に潜んでいるもの、、、
そんな気がするのだ。

お問い合わせ

Contact

商品、委託加工、
その他ご不明点につきましては、
お気軽にお問い合わせくださいませ