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エビちゃん日記
- かんなみ百景
- 食・農業・環境
一週間くらい前の話。
教育大学の学生さんから1通のメールが届いた。
アドレスをどうやって知ったのか分からないけど、
僕の古いブログを見ての質問だった。
2012年11月19日付「短角ナイトⅡ」の記事中、
母国へのお土産に何が欲しいかと聞かれ、
「水道の蛇口」と答えたアフリカ人がいたという話があるが~
と曖昧な記憶で書いた一文に、「情報源を教えてほしい」というものだ。
子供向けの環境教育プログラムを作っていて、
素材として使いたいとのこと。
この手の話は本によるものか雑誌だったのか、
あるいは人から聞いた話だったか、正確に思い出せないものが多い。
「何だったけかなあ・・・」と本棚を眺め、
手始めにと一冊の本を抜いたら、何と、簡単に見つかった。
『日本は世界一の「水資源・水技術」大国』
(柴田明夫著、講談社+α 新書)
正確な記述はこう。
アフリカから日本に来た人が、「おみやげに何がほしいですか」と聞かれて
「水道の蛇口」と答えたことがあるという。
蛇口をひねるだけで安全な水がいくらでも出てくる-
そんな生活環境は、世界的に見れば憧れなのである。(13頁)
しかしここでも「~あるという」という伝聞なので、
著者も正確な情報源を持ってないように思われる。
むしろ水の希少さに鈍感な人々に対して、
アフリカ人から発せられた警句だったのではないか。
世界は水の争奪戦に入っている。
いや人類は昔から水を求めて争ってきたとも言える。
世界有数の水資源大国である日本でも、
洪水と渇水を繰り返しながら、山を森にし、水田を張り巡らせ、
こまかい掟をつくって、国土と暮らしを維持してきた。
水はすでに「商品」と化しているが、
その前に社会を安定させるために欠かせない公共財である。
公正な供給システムはインフラの土台だし、
水の汚染はすべての生命の危険に直結している。
ここ函南町丹那でも、
かつて水をめぐる激しいたたかいがあった。
1918(大正7)年から16年の年月をかけて建設された
丹那トンネル。
その掘削工事によって地下水が抜けてしまった。
水田と山葵(ワサビ)田が広がる
桃源郷とまで呼ばれた丹那盆地の水が枯れ、
困窮を極めた住民たちが蓆(むしろ)旗を掲げて建築事務所を襲った。
大臣への談判にまで発展した結果、
国による水源確保の工事が行われ、住民の怒りはようやく静まる。
東京-大阪をつないだ世紀の大工事。
鉄道伝説の裏に、温和な人たちが命をかけた物語がある。
このあたりの話は、
吉村昭の名作『闇を裂く道』(文春文庫)をぜひ読んでほしい。
ついでに、よろしかったらこちらも。
2014年10月20日付ブログ「函南町新幹線と慰霊碑」。
水の記憶を忘れまいと建てられた記念碑がある。
水とは “ いのち ” そのものだ。
教育者を目指す彼女へ。
拙いブログを見つけてくれて、ありがとう。
しっかりと子供たちに伝えてほしい。
水を大切にする心は、世界の平和にもつながってるから。
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