BLOG
エビちゃん日記
- 日々日々フルーツバスケット
- 食・農業・環境
今週の報告をもう一つ。
13日(月)、久しぶりに東京・霞が関まで足を運んだ。
今年の1月から、農林水産省と消費者庁の共催という形で
「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」が
月1回くらいのペースで開かれていて、
その5回目となる検討会に出席して意見を述べてほしい、
との農水省からの依頼である。
加工食品の原料原産地の表示については、
2001年に8品目(乾燥ワカメやウナギの蒲焼など)が義務付けられて以降、
段階的に拡大してきて、
現在は22食品群と4品目が義務づけられている。
昨年3月には、食料・農業・農村基本計画において
「実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討する」
旨の閣議決定がなされ、
続いて11月に出された「総合的なTPP関連政策大綱」でも
「表示拡大の検討」が示された。
なんで原産地表示の拡大がTPP対策なのか。
大綱にはこんな文言がある。
TPP協定により、我が国の食品の安全・安心が脅かされることはないが、
我が国への海外からの輸入食品の増加が見込まれることから、
引き続き、国際基準や科学的な根拠を踏まえ、
リスクコミュニケーション推進も含めた必要な措置を適切に実施する。
要するに、TPP協定によって
食品の輸入が増えることは間違いなく、
なかでも加工食品の原料輸入が増大することが想定されている。
そこで、消費者の選択材料を提供するうえでも、
原産地の表示を拡大させる必要がある、というワケだ。
そこでは、国産原料を使用したものには「国内産」の表示も行う
ことになるので、国内の一次産業団体からは、
表示義務を拡大させるべきだ(=国産を選択できるようにすべし)、
という要求が高まっていることが背景にある。
いっぽう輸入原料に頼る加工業者にあっては、
原料産地が頻繁に変わる可能性があり、
とても食品に付すラベルで正確に表示するのは不可能である
(やればとんでもない管理コストの上昇=値上げになるぞ)、
という主張となる。
一次産業(農畜水産業)と食品加工業は
本来パートナーであるべきなのだが、悲しいことに、
価格から始まって量や品質の安定性等々、
両者はともすれば利害が対立する関係になってしまった。
「表示」はいわば、その攻防における国境の城のようなものだ。
そんな情勢下での意見発表の要請である。
実は検討会が始まった2月に、
我が社は農水省からのヒアリングを受けていて、
「弊社においては原産地表示はまったく問題ない」
との説明をさせていただいた。
しかしそれは国内の契約農家の農産物を主としているからであって、
本制度の検討においては参考事例にならないでしょう、とも答えた。
ただ、スペースの限られたラベルでの表示は困難でも、
消費者が求める情報は常に開示する仕組みを考えるのは、
食べ物を提供する立場として必須の姿勢でもある。
手法はいくつか考えられるし、
加工者も頑張って情報提供の手段を進化させていかないと、
制度(=加工食品)への信頼は維持できない。
そんなことを思いのまま話したところ、
検討会に来て喋れ、ということになった。
会場に着いてビックリした。
傍聴席が100以上あって、満席状態である。
こんなに傍聴人の多い検討会は初めての経験で、
改めて業界内の関心の高さを実感させられた次第である。
この半分は敵に回してしまうかしら・・・
そんなことを考えているうちに、なんと最初の議題で、
ヒアリングの一番手として指名された。
簡単な自社の紹介をして、言いたいことを一気に喋った。
その概要(ペーパー)はすでに農水のHPで公開されているので、
そちら(↑をクリック)に譲りたい。
また議論の全体に関心を持たれた方は、近々にも
詳細に起こされた議事録がアップされるはずなので、
覗いてみてほしい。
要は ” 難しい・できない=表示の拡大反対 ” ではなくて、
やれる努力をしよう、ということだ。
でなければ消費者の信頼は得られない。
この10年に起きた数々の食品不正事件が何を語っているか。
食品の表示は「食べる人を守る」ためにあることを
忘れてはならない。
加えて表示の要求は加工食品にとどまらず、
外食・中食・インストア加工に対してもあることを
付け加えておきたい。
最後に、ちょっと注目の動きをひとつ。
この表示拡大に向け、強力にプレッシャーをかけているのが
日本の海苔業界である。
しかもコンビニなどでの「おにぎり」への表示を強く求めている。
現行の考え方では、表示義務は重量比の高い順となり、
おにぎりを巻く海苔の重量は大したことないので、
表示対象から外れることになる。
しかしおにぎりにとって海苔は重要アイテムで、
だからこそ付加価値表示として「有明海産の海苔使用」とか
謳うものが登場しているワケなのだが、
何も書かれてない場合は国産モノか輸入モノか判別できない。
しかも今、韓国産と中国産の輸入量が年々増えている。
国産海苔の生産を守るためにも、断固、表示を要求する。
さて、いかがでしょうか。
お問い合わせ
Contact
商品、委託加工、
その他ご不明点につきましては、
お気軽にお問い合わせくださいませ
-
055-974-2236
8:00-17:00(土日祝除く)
- お問い合わせフォームはこちら