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エビちゃん日記
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12月10日(土)。
ふと気分転換に歩いてみたくなって、
函南原生林に足を延ばした。
といっても、原生林手前の公園散策までだったけど。
まだ紅葉が残っていた。
人影もなく、静かな初冬の風景。
麓の向こうに三島から沼津の町が見える。
さらに駿河湾が、かすかに・・・
神奈川と静岡の県境に、今も原生林が残っている。
江戸幕府からの伐採命令に抵抗した先祖の碑もある。
この水源は後世のいのちにつながっているという想像力が、
当たり前に存在した時代があった。
しかもその責任感が身を賭した行動と一致できる凄みに、
僕は来るたびにひざまずく。。。
100年後の姿を見たくなるようなブナの樹。
カモシカの痕跡?
メッセージはそれぞれからのようでいて、
しかし本当に圧迫するのは、全体に漂う「摂理」のようなものからだ。
結局、「お前は何をしているか・・」という自問に行きつく。
12月12日(月)、
製造1課(ジャム・ジュース等の製造ライン)で
ある製品の試作に取り組む。
新作へのトライではなくて、
すでにマーケットでテッパン的評価を得ていて、
古くから堅実に売れ続けてきた商品の再現試験である。
商品とは、これ。
『伊豆の国からの贈り物 - たちばな の牛乳寒天』。
この地方で親しまれてきた定番のスィーツだ。
製造メーカーは函南町の隣・伊豆の国市にある
「山ト食品株式会社」さんで、
実はこの事業を引き継ぐことになったのだ。
山ト食品㈱の永沼純子社長から事業継承を頼まれたのは
一年以上前のこと。
引き継ぐにあたっては、基本技術はもとより
設備や人(従業員)も丸ごと引き受けるとしても、
工場自体は新たにつくる必要があった。
いったいどれくらいの投資になるんだろう、
その回収はどれくらいでできるんだろう・・・
新米社長はぐずぐずと悩み、決断したのは今年の夏。
そこで前々回に報告した「FB伊豆の国センター」建設
につながっていったってワケ。
決断してしまったからには、あとに引けなくなる。
先月には牛乳寒天の販売先(問屋やスーパーさんなど)に
案内も出して、挨拶回りも始めた。
年内には工場を完成させて、年明けから設備の移転を行なって、
2月から本格製造に入る計画だ。
主原料は長年のお付き合いである丹那牛乳。
製造能力を上げるために設備の改良も加えたのだが、
支持され続けた “懐かしい味” は再現しなければならない。
試作を見守る永沼社長。
この日は、まだもう一歩の工夫が必要
との結論に至った。
世間から見ればささやかな事業継承だけど、
僕にとっては軽い決断ではなかった。
人とつながりながら、
地域に愛され続けてきた食の素材を受け継ぎ、
発展させること。
それによって地域の経済循環に貢献すること。
美しい “地元” を自慢できる人が育つこと。。。
思いを形にする、大事な一つの素材を引き受けたつもりだ。
TPPがどうなるか、なんて正直分からない。
しかし、ここでできることをする、今から、今日も。
それが僕なりの反グローバリズム宣言である。
それが僕なりの、世界との連帯であり、
僕が信じてきた「大地を守る会」運動である。
迷った時には原生林を散歩しながら-
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