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エビちゃん日記
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本日、冬のボーナス支給。
今期は順調で、予算(目標)も達成しているし、
何とかそれなりに(微妙?)出せたと思うのだが、
それでもこれでいいのかの自問自答は残る。
こういう時は、寅さんに出てくるタコ社長の気持ちが、
少しは分かるような気がするのである。
昨日は、親会社の監査法人がやって来て、一日中、
内部管理状況を精査されていかれた。
「やましいところは何もない」と
小さく胸を張ってもそこは中小企業、
細かく管理体制の弱い部分を指摘された次第。
まあそこは、できる方法で改善を繰り返していくしかない。
いくしかないけど一方で
「お前らに、この苦労が分かるか」と、
誰でもない誰かに叫びたくなる。
と、一発愚痴を叫んだところで、
レポートの続きを。
王国20周年祝賀会の翌11月25日(土)、
東京はお台場にある「日本科学未来館」を訪ねた。
ここで
「福島の避難地域の野生生物のいま」と題した
シンポジウムが開かれた。
避難地域の「野生生物のいま」・・・
興味深いテーマで、最新情報が得られるかと期待したのと、
ここに勤務される「科学コミュニケーター」という
肩書の方と会うのが目的だった。
シンポジウム名は、正確には
「第5回福島大学環境放射能研究所研究活動懇談会」。
福島大学環境放射能研究所は、
2013年7月に設立され、大気から海洋まで、
環境中の放射性物質の動きを調査・分析している機関で、
その研究成果を定期的に発表するとともに、
参加者とも意見交換する趣旨で
「懇談会」と銘打って、これまで4回開催されてきた。
東京での開催は初めてのようだ。
発表の内容は3つだった。
1.環境中における放射性セシウムの“ふるまい”と福島の状況。
発表者は、塚田祥文教授(研究所副所長)。
2.福島高線量地域に生息する野生生物の状況~消滅か繁栄か?~
発表者は、トーマス・ヒントン教授。
3.原発周辺水域における魚類の放射性セシウム汚染状況。
発表者は、和田敏裕准教授。
未来館ホールは立派な会場だったが、
参加者は意外に少なく、市民のみならず、
学者の間でも関心を寄せる人は少なくなっているのが
推測された。
学者の発表となるとどの会場も埋まっていた時期が
ウソのようだ。
発表内容はと言うと、
これまでのおさらいと蓄積されたデータによる分析が主で、
特段に目新しい情報は得られなかった。
トーンとしては、もう安心できるレベルである、
というものだ。
なら、来なくもなるか。。。
しかし、未だに福島の食材は
「風評被害」の中にあるのだけれど。
避難地域における野生生物の調査では、
放射性物質の濃度に比例する形で遺伝子への影響が
確認できるも、
病気や外見上の変化は認められず、
むしろ個体数は増えていて、繁栄の状態にある。
原因は「ヒトがいなくなったこと」。
まだまだ長い観察と調査が必要だということだ。
特に内部被ばくの影響を見るには、
世代時間の短い野生生物の調査は有効だと思うのだが、
それでも長期にわたる膨大なサンプル数が求められる。
今のお国の様子から見て、
果たしてどこまで予算が持つだろうか。
会場からは、
「安心できるレベル」を安易に語ることへの批判や、
根拠としたデータへの疑問などが出されたが、
充分にかみ合ってなかったように思う。
全体的にイマイチな感が残ったのは、
学問的範囲から垣根が越えられてないからだ。
「懇談会」終了後、ここで勤務される
科学コミュニケーターの方と約1時間半近く話をした。
科学館では昨年の3月から「LESSON#3.11」と称して、
放射能リテラシーを高めるための
パネル展示やトーク・イベントを重ねてきている。
来年3月にもトーク・イベントを計画しているのだが、
そこで今も放射能に高い関心を持っている人たちは、
どんなことを考えているのか、いま知りたいことな何なのか、
意見を聞かせてほしい、という依頼だった。
いま市民が求める情報はどういうものか、
どういうコミュニケーションが必要か、
僕なりに思うことを縷々述べさせていただいたのだが、
こういう取り組みで厄介なのは、
「正確な情報」に自己の基準や価値観を投影させた途端、
人はそこにある「色」を感じ取ってしまうことだ。
政治的な色合いや、その人の「立場」による発言だと。
「安心」というひと言にも慎重さが求められる。
公的なセッションでのコミュニケーションは
一方的あるいは独りよがりであってはならない。
“放射能リテラシーを育くもう” と
僕らは簡単に言うけど、
僕ら自身が慎重に訓練を重ねていかないと、
陥穽(かんせい:落とし穴)に落ちることがある。
厳しい目を持った第3者、あるいは反対論者を
受け入れる姿勢が必要である。
僕なんかの意見が参考になったかどうかは
分からないけど、様々な視点を取り入れようとする
姿勢はとても誠実なものを感じた。
HPではこれまでの活動成果もアップされていて、
改めて情報を整理するには役に立つと思う。
「LESSON#3.11」-ぜひご参照いただき、
3月のトーク・セッションには、
一人でも多くの参加があればと願う。
放射能対策は、
自然科学だけで太刀打ちできるものではない。
社会科学・人文科学も含めた
総力戦で取り組まなければならない課題である。
「科学的判断」を強要する自然科学者には、
「科学は貴方の分野だけではない」
と申し上げるようにしている。
こう見えても私、社会科学士なので。
なお、日本科学未来館の方と僕をつなげたのは、
NPO法人市民科学研究室の上田昌文さんであった。
かつて、大地を守る会の放射能連続講座で
2回お世話になった。
茨城での水系調査と対策にも協力してもらったことがある。
彼は今でも、放射能リテラシーと格闘している。
こういう人々の訓練の積み重ねが
“放射能に克つ” ことだと、僕は信じる者である。
先の関西よつ葉交流会で聞いた、
吉本哲郎氏の言葉を反芻する。
「水俣は60年経っても終わっていない。
福島は、これからだ。
覚悟せよ。そしてホンモノを作れ。」
コミュニケーションについても、
新たなフクシマ手法を創り出せないものかと思う。
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