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森里海会議2017 ~22世紀に残すもの

2017/12/29
  • 食・農業・環境
森里海会議2017 ~22世紀に残すもの

世界に冠たる新幹線に、重大インシデント発生!
そこで思わず脳裏に浮かんだのは、
静岡新聞とSBS静岡放送が共同でキャンペーンを張っている
超ドS憲章 の一つだった。

  静岡県民は、のぞみが無くても、ひかりを信じろ。

このドS憲章、けっこう気に入っている。
他には、こんな感じ-

  静岡県民は、空気ばかり読もうとせず、静岡新聞を読め。
  静岡県民は、3,776mの上から目線でいけ。
  静岡県民は、嫌なことはお茶に流して、次へ行け。

静岡県に単身赴任して3年半。
少しずつ染まりつつあるワタクシですが、
来年はいっそうこの県民憲章の精神で
前に進もうと思うのであります。

とまあ冗談はさておき、日本を誇る大企業の劣化を
目の当たりに見せられた一年でした。
なかでも暗澹たる気分にさせられたのは、
東日本大震災の被災地支援で米軍が展開した
「トモダチ作戦」のその後、でしょうか。

トモダチ作戦に参加した400人の元兵士が、
福島原発事故によって放射能被ばくしたと
東京電力に損害賠償を求めて訴訟を起こしている問題。

アメリカ軍の報告では、
作戦に参加した約5000人の水兵のうち、
約2000人に甲状腺がんなどの異常が出ているという。
すでに2名の兵士が骨膜肉腫と急性白血病で死亡したとも
報道されている。

小泉元総理が現地で兵士たちと会って異常の事実を確認し、
細川元総理、城南信用金庫相談役の吉原毅氏とともに
支援する基金を立ち上げた。
そして経団連に寄付を求めたところ、冷たく断られたという。
その理由に唖然とさせられた。
「経団連の仲間である電力会社は
『福島原発事故で人への健康被害は発生していない』
と主張している。ここでお金を出したら被害を認めることになる」
というのだ(DIAMOND online ニュースから)。

兵士たちの被ばくの真偽や人数については議論もある。
なら、寄付するかどうかは企業個々に任せればよいことであるが、
判断根拠が電力会社への配慮とは・・・
今年を賑わした「忖度」をまさに象徴する、
とどめの一撃のような話だ。

 

お茶に流していいワケではないが、
気を取り直して仕事に専念した最後の一週間。

25日、X’masケーキの製造・出荷が無事終了した。
地元では生ケーキの注文も承っていて、
職員が手分けして配達もする。
これは我が社の年末恒例のイベントになっている。
たくさんの人に喜んでもらえたこと、
それが我々にとってのX’masプレゼントだ。

 

で、今年最後のレポート。

12月10日(日)、
上野公園内にある東京国立博物館・平成館の大講堂で
森里海会議2017 -22世紀に残すもの-
と銘打ったシンポジウムが開かれた。

主催は「一般財団法人 22世紀に残すもの」。
発起人代表である渡邊智恵子さんは、
(株)あばんてぃ代表を務める傍ら、
NPO法人日本オーガニックコットン協会他、
数々の団体の役員を務める超元気印な女性だ。
福島でのオーガニックコットン・プロジェクトの
仕掛け人でもある。

きれいな地球と幸せな社会を22世紀に残すために、
様々な学びの場を提供したいと渡邊さんは活動している。
そこで森から里そして海へとつながるいのちの循環について、
それぞれの現場で活躍する人
(渡邊さんが聞いてみたい・聞かせたいと思った人)
によるセッションが試みられた。

第1部は、世界のフォレストヒーロー、
「NPO法人森は海の恋人」理事長・畠山重篤さんによる記念講演。
お題は「森は海の恋人 人の心に木を植える」。

畠山さんの話はこのブログでも何度か紹介してきたので、
概要は直近(2015年1月)の記事 にゆずるとして、
畠山ブシは何度聞いてもイイ。

森と海の恵みはつながっている。
そこに気づいた漁師が山に木を植えはじめ、
その心が世界に伝播した。
まさに 「人の心に木を植え続けてきた」 ヒーローが
この国に今も健在することは、希望だと思う。
前回お会いした後に出された
『牡蠣とトランク』 も素晴らしいエッセイである。

 

第2部は、森・里・海から選ばれた者たちによる
トークセッション。

森からの登壇者はお二人。
全国各地を拠点に、地元の木材で家具作りを進める
(株)ワイス・ワイス代表の佐藤岳利さん。
「森のライフガイド」 という肩書を持つ、
NPO法人生物多様性研究所あーすわーす研究員、
池田雅子さん。

里からは(株)金沢大地代表の井村辰二郎さん。
全国1の規模を誇る有機農家だ。

そして海からは、畠山さん。
モデレーターは、僕が大地を守る会に入社した当時の先輩、
徳江倫明さん。

それぞれに刺激的な話を伺ったのだが、
上手につなげてまとめるには、気力が必要だ。
ここではメモの再録でお許しいただきたい。

森は動いている。
かつて里山を利用した時代から
木を伐りつくした戦時中までの間、
日本の山はハゲ山状態だった。
戦後の拡大造林によって日本列島に木が植えられたが、
木材の自由化と価格崩壊によって山が放置されるようになり、
ケモノたちにとって今はむしろ森は豊かになり過ぎている
(だから増えている)。

昔は、里山には手が入っていたので見晴らしがよく、
ケモノたちが里に下りることはなかったが、
今は境目がなくなって向こうが見えない状態となり、
ヒトの気配がなくなってきたこともあって、
野生動物も歩いていたら里山にいた、
みたいな感じなのです。(池田さん)

地元の材で100年持つ家具をつくろうと頑張っているが、
経営はずっと厳しい。
違法伐採された安い木材が野放しで日本に入ってきている。
ロンダリング(洗浄/不正取引の証拠が流通過程で消される)
されているのです。
ファストファニチャーに僕らは苦しめられている。
消費が未来をつくる想像力を持ってほしい。(佐藤さん)

農業者がどんどんいなくなる中、
千年産業としての農業を樹立させたい。
棚田は真水を貯えるインフラでもある。
一人一人ができる範囲で、
一枚でも守っていただけたら。(井村さん)

車の部品が一つ一つ消えていく
(どこかで破局が来る)ように、
いま生物の大絶滅時代がやって来ている。
温暖化だけでなく
様々な要因で自然災害のリスクも高まっている・・・
そんな危機感に対して、
海の代表・畠山さんが力強くまとめた。

潮目が変わる時が、必ず来る!

 

終了後、懇親会が開かれた。
みんな希望を語る人たちだった。

 

あと一本書こうと思ってたけど、残念。
今年はこれが最後となりました。

清水寺での今年の漢字は 「北」 となりましたが、
ワタシ的には 「憲」 の字で締めくくりたいと思います。
憲法の 「憲」ですが、
人間の言動を取り締まる枠であり、 組織や政治の
仕組みの根本の原則を定めたおきて、です(漢字源より)。

本当の敵に向かわず、
弱いものを叩く風潮が蔓延しているようで、
言葉とは怖いものだと改めて感じた1年でもあります。
言葉の力を怖れ、
言葉に自分なりの 「掟」 を持ちたいと思います。

加えて、憲法改正の議論もいいけど、
これまで日本国憲法が果たしてきた役割や恵みの意味を
しっかり検証した上で、どうするのかを議論してもらいたい、
という願いも込めてみました。
いま自分がこうしていられるのが何によるのか、
考えたいですよね。
ワタシこう見えても、社会科学士なので。

 

では皆さま、
今年一年間どうも有り難うございました。
感謝の念とともに、
良いお年をお迎えください。

来年も、今年に増して、
“事業を通じて社会的課題を解決する”
に挑み続けます。

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