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エビちゃん日記
- オイシックス・ラ・大地
- 食・農業・環境
北海道に来ています。
昨日(25日)のうちに羽田から旭川空港に飛び、
バスで富良野まで南下、ここで2泊という出張計画。
宿の前の風景。
北海道も今年は雪が多く、
例年の1.5倍は降っているんじゃないかと聞かされる。
この時期の富良野はスキー客とインバウンド。
なかでも中国人の姿(声?)が目(耳?)につく。
で、富良野のホテルからではあるけど、
北海道の話は次にして、24日(土)に
「らでぃっしゅぼーや」と取引する生産者・製造者の組織である
「Radixの会」の総会が開かれたので、
レポートしておきたい。
会場は、竹橋にある一橋講堂。
参加者数は例年より多い、400名と発表された。
やはり「3月より親会社がNTTドコモからオイシックスドット大地に-」
という衝撃的発表直後の総会だけに、取引先としては
「これからどうなる・・」は確かめておきたいところだろう。
総会に先立って、
「三方良し+SDGs」と題した記念講演が行われた。
講師は博報堂広報室CSRグループ推進担当部長の
川廷(かわてい)昌弘氏。
SDGs(Sustainable Development Goals、略してエス・ディー・ジーズ)、
「持続可能な開発目標」という意味で、2015年に国連で採択された指針。
SDGsについてはいずれ改めて取り上げるとして、
先に総会報告をすませたい。
最初に
らでぃっしゅぼーや(株)代表取締役、国枝俊成さんの退任の挨拶があった。
らでっしゅぼーや(以下、RB)の株式がNTTドコモに買収され、
子会社になったのが2012年8月。
以来5年7ヶ月。
最初は勢いもあったが、ここ数年は業績を落としていて、
今期(3月決算)はけっこうな額の赤字が見込まれている。
様々な事業プランが試されたはずだが、うまくいかなかったか。
「忸怩(じくじ)たるものがある」の言葉に
無念さがにじみ出ていた。
続いて来賓として、オイシックスドット大地(株)の
代表取締役社長・高島宏平さん、そして
代表取締役会長・藤田和芳さんが挨拶に立つ。
高島さんが掲げた事業ミッションは
「食のデリバリー事業によって社会問題を解決する」。
三つのブランドが統合して一つになるのではなく、
それぞれが育んできた個性(アイデンティティ)や特徴、活動内容に
さらに磨きをかけて、多様なニーズやシーンに対応していく。
一方で物流やバックヤード、管理部門などは効率的に再編して、
統合メリットを生産者にも消費者にも還元していく。
そして総合的な力で社会課題をひとつひとつ解決していきたい。
新たな時代が生まれる。
共にがんばりましょう。
藤田さんからは、RB設立からの流れを振り返りながら、
今回の子会社化の意味が語られた。
設立時は、農産物の調達(仕入)から仕組みづくりまで、
全面的に大地を守る会がバックアップした。
「人も派遣し、持っているノウハウは惜しげもなく提供した」
と藤田さんは懐かしむ。
世間は、なんでライバルをそこまで支援するのかと訝ったが、
それによって生産者の仲間も増え、有機の畑が飛躍的に広がったのだ。
競合しながら一緒にオーガニック・マーケットを成長させていった
という自負が、藤田さんのみならず僕らにはある。
ただ「持っているノウハウを提供した」というのは、
現場に近いところにいた僕としては、それだけではない。
むしろ「大地」に足りない部分を補い、
「こんなふうにできるといい」といった、
一歩、いや二歩先のシステム・イメージをRBに投入した、
と言ってもいい。
いっぽうでRBは、有機野菜の宅配をオシャレに展開したいという
意識が強くあって、最初にCIが作られた。
生まれたキャッチコピーは、『元気がオシャレ』 だ。
僕ら(大地側)はよっぽどダサく見られていたってことだが、
鈍感な我々は、そのコピーを鼻で笑ったものだった。
そして20世紀の最後まで、
「ダサい」(骨太とも言われた)大地と「オシャレな」らでぃっしゅが、
水面下では一緒に仕事をしながら、競い合った。
(その頃から一般市場にも「有機」表示が出回り始め、
やがて農水省が規制に動き始めることになる)
RBがキューサイという会社に買収されたのが、2000年。
それから2008年くらいだったか(正確に思い出せない)、
投資会社に買われ、ジャスダックに上場し~ と変遷の道を辿ることになる。
藤田さんはその頃の心境を率直に吐露された。
なんでキューサイなんかに・・・
自分たちにお金があったら、あるいはできることなら
生産者からかき集めてでも、買い取りたかった。
(念のために釈明しておくと、
ここでの「なんかに」とは決して侮蔑的意味ではなく、
青汁のキューサイという会社は、彼にとってはどうしても「異種な方」
でしかなかった、ということでご理解いただきたい。)
アマゾンがアメリカの最大自然食品スーパーであるホールフーズを買収し、
日本では生鮮食品の短時間配送を開始した。
一方で物流事情は、ヤマトの大幅値上げに象徴されるように、
厳しさを増している。
そんななかで、この3社が別々に土俵を持って競争するよりも、
一緒になってたたかいの陣形を築いたほうが良い、と判断した。
そしてこう宣言したのだ。
「もう、らでぃっしゅぼーやは、どこにも買わせない!
一緒にやろう! 」
いやいや・・・ま、圧巻でした、藤田さん。
そして、らでぃっしゅぼーや取締役・藤巻啓二さんが
新たな決意表明をした。
僕にとっては、今のRBに唯一残っている「友だち」である。
経営が厳しく推移する中で、この間、
改めてらでぃっしゅのブランド価値を見直す作業を
進めてきたという。
その結果としてまとまったリ・ブランディングを集約した言葉がこれ。
「100年先も、愛されるブランドへ。」
持続可能を、やりきる。
“本物” “本質” を伝え、届ける。
ニッポンの健康を支える。
・・・・・
懸命に語る姿に、再スタートにかける思いが伝わってくる。
頑張ってほしい、彼には。
3者がそれぞれにブランド価値を高め、競合しつつ連携し、
オーガニックの世界を広め、社会課題を解決していく。
スピードスケートのチームパシュート(団体追い抜き)みたいに、
単独では出せない記録を、3人の力で作り出すのだ。
このミッションを本当にやり遂げるためにも、
大地を守る会にはもっともっと、とんがっていってほしいと
願わずにいられない。
らでぃっしゅぼーやの再スタートが宣言された総会を見つめながら、
改めて大地を守る会の存在意義が大事だと思わされたのだった。
大地を守る会が設立されたのが1975年。
13年後の1988年に、らでぃっしゅぼーやが生まれた。
その12年後、2000年にオイシックスが誕生する。
ひと回りごとに新しい世代が、新しい旗を掲げて
有機農業(オーガニック)の世界に登場した、躍り出るように。
3社はしかも、同じく最初は批判された。
そのひと回り後に起きたのは、大震災と原発事故だった。
あの時、変わらなければ- と誰もが呟いた。
その後、様々に模索を続けてきた3社が昨年そして今年、
それぞれの旗を持って集まり、土俵を築き直すことを約束した。
この歴史はいずれ「必然的に」と語られるはずだ。
それぞれ微妙に異なる時代感覚と社会意識を持つ、
いわば似て非なる3者が結集し、
土台を大きくしながら社会的課題に立ち向かう。
この壮大な実験は、見ものである。
いや、他人事で言っているのではなくて。。。
ってことは、かつて大地を守る会が掲げた
「オーガニック革命」の答えが出るのは、2024年あたりか。
僕はその時、どこにいるだろうか。
生きていてくださいね、皆さん。
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