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7回目の「風土 in FOOD」

2018/08/07
  • あんしんはしんどい日記
  • 生産者・産地情報
7回目の「風土 in FOOD」

今年も来てしまった。
というか、やっぱ来ないと気持ちが済まない。
8月4日(土)、福島県須賀川市泉田字作田。
田んぼで生きてきたような地名の場所で、
ジェイラップが主催する夏祭り「風土 ㏌ FOOD」が
今年も催された。
2011年、あの年から始めた、強い意思と願いを込めた、
僕の愛する彼らのイベントである。

すっかり地元恒例の祭りとなって、
日が傾くにつれ、たくさんの親子連れが集まってくる。

これだけの準備をするのは大変だと思うのだが、
実に段取りよくやってしまうのが彼らのスゴ腕だ。

開会の挨拶は、副社長となった伊藤大輔くん。
次世代のホープ。

農業者の減少に高齢化が進む中で、
しっかりと地域を守っていきたいと頼もしい。

そして記念講演は、
ノンフィクション作家、奥野修司さん。

月刊『文芸春秋』の取材先としてジェイラップ代表の
伊藤俊彦さんを彼に紹介したのは2002年の春だった。
農業の現場で既成概念にとらわれない
新しい取り組みをしている生産団体を紹介してほしい、
というような依頼だった。
奥野さんは取材をもとに、伊藤さんを中心にした
ジェイラップ(稲田稲作研究会)の取り組みを記事にしたのだが、
実はその後もしつこく取材を続け、2009年、
大地を守る会の「備蓄米」を題材として
『それでも、世界一うまい米を作る
~危機に備える「俺たちの食糧安保」』
(講談社)
を出版する。

そして3.11と原発事故の後、
彼はさらにスッポンのように伊藤俊彦を追い続け、
前著を全面改稿して
『放射能に抗う ~福島の農業再生に懸ける男たち』
(講談社文庫)を出すことになる。
いやはや、、。この執拗な取材攻勢に、
伊藤さんは相当辟易としつつも、
こうやって記念講演を頼むところを見ると、
やっぱ一目置いているのである。

奥野さんの話は、『それでも、~』をきっかけに
中国の食料生産事情を取材してからのその後の話が披露された。
なんと、ずっと中国にも通い続けているのである。
話はそこからネオニコチノイド農薬の問題に広がり、
早期にコメ栽培からネオニコ農薬を排除した
ジェイラップの姿勢を高く評価しつつ、
食の安全における近未来の世界を予想する。
いやあ、やっぱこれくらい執念深くないと
ノンフィクション作家にはなれないんだなあと
感心するのみである。

 

驚いたのはそのあと。
フリータイム(ご歓談)のひと時の次に、
奥野さんと須賀川市産業部長をパネラーとして
パネルディスカッションが予定されていたのだが、
急に「エビちゃんも上がれ」と指名を受けて、
強引に登壇させられたのである。
無茶ぶりも無茶ぶり、人使いが荒すぎるよ。

まあ、伊藤さんの頼みとあれば、出るしかないか。
抵抗し過ぎて空気に水を差してはいけないし・・・
祭りだしね。

ディスカッションのテーマは、
「農業が元気なら、人は活きていける。『耕・肥・蒔く』」
と題されていた。

加速度を増す人口減少と耕作面積の減少は、
農業生産基盤の脆弱化が危険水準を超えて
進んできていることを表しているが、
一方で法人経営体と雇用は確実に増えつつあるし、
新規就農者の数も伸び始めている。
そして世界の人口は増加していっている。
世界を視野に入れた戦略もまた必要ではないか。
 -それが伊藤さんの現在の問題意識である。

「耕肥蒔く」-食を耕し、人を肥やし、未来への種を蒔く。
ジェイラップが掲げるテーマを、この時代にどう発信できるか。

就労人口が減っていく中で、農業を守るには。
地域にどう貢献してゆけばいいのか。
外国人労働者を受け入れるべきか。
そもそも農業を発展させるのに何が必要なのか。。。

そんな伊藤さんからの問いかけに、
僕なりの意見を出させていただいたが、
心の準備不足もあって、
ちょっとまとまりを欠いた気がしないでもない。
ま、お許しください。

 

真面目な話の後は、ライブを楽しむ。
まずはカタログハウスの斎藤憶良さん率いる
「THE CREEPERS」。

何となく・・キャロルの影響を受けているような。。。
たいして知らないんだけど。

ロックの音響に揺すぶられながら、
祭りが盛り上がっていく。

お次は地元のおやじバンド
「DISC LORD」。

途中で伊藤さんが呼ばれ、
一曲披露する場面も。

聞けば、リードギターとボーカルのおっちゃん。
伊藤さんがヤンチャをしていた時代のダチだとか。
二人でパトカーを従えて走っていたのか。。。
ま、青春時代の仲間とずっと一緒に遊べるというのは、
人生を楽しくさせる。

 

20時45分、閉会。
挨拶に立ったのは「でんでん倶楽部(ジェイラップの生産者組織)」
きゅうり研究会会長の鈴木富雄さん。

震災と原発事故から7年。
仲間と一体になって、励まし合いながら
たたかってきた。
笑顔で挨拶してくれるのが、何より嬉しい。

伊藤さんが口癖のように語り、自分を鼓舞してきたセリフ。
「いつか孫から、『おじいちゃん、頑張ったね』と
 言われたい。
 『何してたの』なんて言われたら、死んでも死にきれない」

いや、よく頑張ったと思う、本当に。
でも、まだ終わってない。
食を耕し、人を育て、未来への種を蒔き続けよう。
僕も併走し続けたい。

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