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メキシコの奇跡は成功するか

2019/01/20
  • 生産者・産地情報
  • 食・農業・環境
メキシコの奇跡は成功するか

新年、年賀状の束とは別に届いた
ニュースレターのなかに、ビッグニュースを発見した。
フェアトレード・コーヒーの
ウィンドファームさんからの便り。
遅ればせながら報告を。

ウィンドファームさんが扱うコーヒー豆の産地はいくつかあるが、
もっとも古くから提携してきたのが、メキシコのトセパン協同組合である。
コーヒーだけでなく様々な木を農園内に植え、
森を育てながらコーヒー豆を生産するという
“ 森林農法 ”(アグロフォレストリー)に取り組んで40年になる。

我が社はそのウィンドファームさんの有機コーヒー豆を原料に、
エコ・ブラック」というカート(紙)缶の無糖コーヒーをつくって、
長らく販売してきた。
本ブログで一度紹介させてもらったのは、もう4年前になる。

さて、そのニュースレターで報告された内容だけど、
恥ずかしながら、僕はまったく知らなかった。
おそらく主たるメディアでも、この内容は報道されてないと思う。
こんな出だしで始まるレポート。

年の初めに、皆さまと共に歓びを分かち合いたいことがあります。
それはウィンドファームの創業から32年目の
昨年12月に起こった奇跡的な出来事です。
長年フェアトレードで提携してきたメキシコの
トセパン協同組合スタッフであり、私たちの友人でもある
マリア・ルイサ・アルボレスさんが、
なんと社会開発省の大臣に就任したのです。
そして、トセパン協同組合が設立された40年前から
取り組んできた森林農法(アグロフォレストリー)が、
メキシコ全土で展開されることになったのです。

そして大統領に就任したロペスオブラドール氏の就任演説が
紹介されている。これもスゴイ!のである。

私たちは、自然を破壊することなく生産性を向上させる
森林農法の適用を推進します。
遺伝子組み換えされた種子の導入および使用は認めません。
フラッキングのように、自然に影響を及ぼし、
水源を枯渇させるようなガス、石油、あるいはいかなる
自然資源の抽出産業も認めません。
環境に影響を与える経済、生産、商業は認めません。
土壌、水、および空気の汚染はくい止めます。
動植物は保護します。
水は民営化させません。

大丈夫か‥‥拍手と同時に、北に隣接する大国や多国籍(無国籍)企業
からの圧力も心配してしまうような政策である。

なんせメキシコは1994年のNAFTA(北米自由貿易)締結以来、
アメリカから主食であるトウモロコシが怒涛のように入ってきて、
価格暴落とともに多くの農民が離農したと言われているし
(移民問題の背景の一つとも)、
逆に10年前には、アメリカのエタノール需要によって引き起こされた
価格暴騰によって、激しい抗議行動(いわゆる「トルティーヤの危機」)
が発生したことも記憶にある。

環境を守る、貧困対策に力を入れる、遺伝子組み換えは拒否する・・・
潰されはしないかと心配が先に立っても不思議ではないだろう。
しかしメキシコ国民の圧倒的支持で誕生した新政権である。
一つずつでも、政策が国民利益につながっていることを
見せていってほしいと願わずにいられない。

で、新政権が『命の種をまく~持続可能な地域社会づくり~』
と名づけた森林農法拡大政策では、
なんと100万ヘクタールまで森林農法を拡大させる計画である。
まずは19の州で1万ヘクタールの植林からスタートさせ、
森の豊かさを取り戻しつつ、さらに
トウモロコシを主体とした伝統農法(ミルパ)と
果樹栽培も組み合わせていく。
野菜作りでは有機栽培の指導が行われる。
次の段階では、生産者による組合の組織化と
マイクロクレジット(小規模金融)システムによって
地域の自立力を高める。

結果として40万人の正規雇用を創出し、
家計収入の増加、販売力の増強、森林の再生がはかられ、
地域社会の誇りを取り戻していく、という構想が描かれている。

40年前に一人の先住民が立ち上がって始められた
森林農法の取り組みが認められ、国内全土で展開しようと
大統領が宣言するまでになった。
これはグローバリゼーションが世界を覆いつつある中で、
21世紀の次の流れを予見させる “革命” である。
ウォッチし続けていきたいと思うし、
「エコブラック」販売にも力が入るというものである。

かたや日本では・・・いや、終わらなくなるので、ここまで。
批判や愚痴よりも、今回は「俺たちも頑張らねば」という決意で
締めないとダメだよね。

※フェアトレードの有機缶コーヒー「エコブラック」では
 1本につき1円がプールされ、市民団体「ナマケモノ倶楽部」を通じて、
 現在はエクアドルの生産団体の地域活動に寄付されています。
 ぜひ応援してください。

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