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自然再生エネの希望と課題

2021/02/15
  • 脱原発・自然エネルギー
自然再生エネの希望と課題

2月13日(土)。
700字程度の小さな原稿を書く。

親会社「オイシックス・ラ・大地㈱」の職員による
自主的な活動グループ
「大地を守る・くらしからエネルギーを考える会」
(以下「大エネ」)が、
契約農家を対象に行ったアンケート調査の結果について
コメントを寄せてほしい、との依頼に応えたもの。
締め切りは2月15日と言われていて、
後回しにしていたら、ヤバくなってきた。

アンケートの内容は、
農家の自然再生エネルギーの取り組み状況についての
シンプルなもので、特にソーラーシェアリングに対する
関心度を見ようという狙いが示されていた。

まず以下の質問から入る。
「農産物を生産する際、再生可能エネルギーを利用していますか」
-「利用している」と答えた人は13.6%。

利用方法は、倉庫事務所やガラスハウスの温度管理照明、
ほ場の電気柵、倉庫の照明、ボイラー、電気自動車フォークリフト
など。

ここで「農産物生産の際~」と聞かれているのが、
用途が狭められた感じがして、もったいないと思った。
そういう意図だったのかもしれないけど、
生活利用や「生産」以外での土地(空き地等)利用まで広げて、
農家での取り組み度合いを聞いてもよかったのではないか。
また経営上でのメリットや課題、継続への意思なども
掘り下げて聞いてもらえると、導入を検討している人への
情報提供にもつながったように思う。

「利用していない」理由については、
山間地のため日照不足、イニシャルコストがかかる、
借地のため、電力を使う時期が収穫期に集中するため、
太陽光パネルの処分の問題、風力の自然破壊の問題、
知識不足や資金工面の問題、等が寄せられている。

集約すれば、効率とコストのバランスへの不安、
初期投資の資金面、そして知識不足、ということになるか。
環境問題の観点から疑問を呈している人がいるのは、
有機農業に取り組む人たちの「真面目さ」を感じさせる。

続いて「ソーラーシェアリング」についての質問。
「導入している」の回答はゼロ
(導入している人からは回答がなかったようだ)。
「検討している」が2.3%、
「知っているが導入しない」が56.8%。

これに対して「大エネ」諸君は、
「思っていたより関心が低い」と落胆したようだが、
僕は逆に、60%近くの人が「知っている(関心を抱いた)」
ことに、ポテンシャル(潜在的需要)を感じた。

「導入しない」理由については、
コスト面の問題や、日照不足等による対費用効果の問題、
また栽培への制限や生育への影響に対する不安、
等が挙げられていた。
なかに「大型機械を使う大規模畑作では無理」
という回答もあった。

結局のところ、
回答者の営農規模や生産環境(地理的条件等)、
経営形態(平地の稲作なのか山間地の果樹なのか等)
との関連が不明なので、これでは
現在の生産者の正確な意識像が捉えられず、
とても残念に思った。

また「建設によって環境破壊が起きている」の指摘もあり、
いま全国に広がっている自然再生エネへの取り組みにも
様々あることがどこまで理解されているか、気になった。
必要なのは「情報」と「機会」の提供である。
今後の「大エネ」の活動に活かしてほしいとコメントした。

最後に以下の一文を付け加えさせていただいた。

政府も「脱炭素」を掲げざるを得ない時代に入り、
自然再生エネは技術もコストダウンも飛躍的に進みつつあります。
全国各地でエネルギーの地産地消(循環型社会)が誕生
しつつあります。
日本には豊富なエネルギー資源があるのです。
企業による大開発ではなく、自分たちの手で、
「田園からエネルギーを生み出していく」ことは、
有機農業の理念とも合致します。
課題ももちろんあります。ぜひ一緒に学んでいきましょう。

 

そして、原稿に添付させていただいたのが、
前回紹介した写真である。

丹那牛乳の生産者が、牧草畑に設置したソーラーパネル。

生産者に聞いたところによれば、
牧草の生育にはほとんど影響ないという。
投資コストの回収もしっかり計算されている。

しかしFIT(固定価格買い取り制度)の買い取り価格は
これから下がっていくので、
今後導入を検討する場合には、バイデン、じゃなかった
売電収入をアテにしない計画作りが必要になってくる。

自然エネルギー団体のネットワークは全国的に広がり、
様々な先進的成功事例が蓄積されてきている。
生産者を後押しする上での「情報」と「学習の機会」は、
どんどん豊富になってきているので、
「大エネ」の皆さん。
本来業務をやりながらの活動はしんどいだろうけど、
どうか頑張ってほしい。

 

こういう話題も提供しておきましょうか。

ここ丹那でも、東京の開発業者によるメガソーラー建設
が問題になっている。
盆地の北側斜面の山林約65haが伐採され、
太陽光パネルが約10万枚設置されるという計画である。
生み出された電力はすべて東京電力に売電される。

この問題に対して、計画地近くにある小学校・幼稚園に
子供を通わせる親たちが中心になって反対運動が起きている。
台風等による土砂災害の危険性に加えて、
計画地の直下に活断層が走っていることも判明している。

しかし計画地の山林はすでに買収されているとも聞く。
その背景には山林所有者の苦悩する姿も想像される。

どうも複雑な様相になっているのだが、
提起されている問題は熟議されなければならない。
誰による、誰のためのエネルギー開発なのか。
それは持続性があり、地域を豊かにするものなのか。

小さな盆地に住む住民たちは今、
未来に目を向けた大きな訓練を経験している、と言える。

僕自身はよそ者だけど、
この地に本拠を構える事業所の責任者として、
どうコミットするのか(しないのか)、
問われていることも自覚している。
偉そうに調査へのコメントしている場合ではないことも。

一昨年の映画上映会 はポーズだったのか、
とだけは言われないようにしたい。

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