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農業基本法「見直し」に異議あり!

2023/04/18
  • あんしんはしんどい日記
  • 食・農業・環境
農業基本法「見直し」に異議あり!

もう一ヵ月近くも前、3月24日に撮った写真。

今年の桜は、まだ3月にもかかわらず、すでに散り始めている。
この木も、後日の風で一気に散った。

伊豆半島には各所に河津桜が植えられていて、
2月末から3月初旬で桜の花見気分になる。
でもやっぱりサクラは、卒業式から入学式シーズンだよね・・・

そんな気分で撮ってみたのだが、下書きに貼りつけたまま
日が経って、もう4月も半分以上過ぎてしまった。

 

4月17日、前期の決算がようやくまとまり、
親会社「オイシックス・ラ・大地(株)」に送る。
売上高は微増にとどまり、予算(目標)未達に終わったが、
利益は何とか想定ラインを確保できた。
春の昇給も用意できたけど、
物価の高騰に加えて税や社会保険の負担も大きく、
社員の満足感は黄砂に覆われた空のようなものだろう。
社長としては、「文句はお国に言ってくれ」と開き直るしかない。

原材料から資材、燃料まで、あらゆる物資が高騰するなか、
気の休まらない1年だった。
原価の上昇ぶんは、卸し先も受け入れてくれて何とか凌げたが、
問屋や販売者にはそれぞれの利益設定があり、
順送りの価格転嫁に、はたしてどこまで消費者が耐えてくれるのか、
自分だって当然消費者でもあるわけで、じつに辛いところである。。。

 

年度替わりで落ち着かず、空白の1ヵ月となってしまったけど、
書きたいネタは溜まり続けた。
遅まきながら、決算を終えたところで、順次吐き出してみたい。

 

まずは3月29日(水)から。

全国有機農業推進協議会の理事長・下山久信さんから、
「出てこい!」との恫喝(どうかつ)的電話があり、
久しぶりに霞ヶ関の農林水産省まで出かけた。

現在、農水省が進めている
「食料・農業・農村基本法」(以下、基本法)の見直しに対して、
民間団体との意見交換会が用意されたのだ。

基本法は「農政の憲法」と言われる土台的な位置づけで、
いわゆる「理念法」である。
それに基づいて、具体的な目標や施策は「基本計画」で定められる。

その骨子は以下の4点に集約される。
1.食料の安定供給の確保
2.農業の多面的機能の発揮
3.農業の持続的な発展
4.農村の振興

しかし、基本計画で掲げられた食料自給率の目標は、
現「基本法」制定以来20年間、一度も達成されていない。
そればかりか、農地の減少にも歯止めがかからず、
上記2~4の理念もどんどん減退してきたのが実情である。

そこで現在、基本法の見直しが進められ、
連休明けにはその論点整理がされるという流れなのだが、
そもそもなぜ目標が達成できずにきたのかの根本的な検証がないまま、
やれITを活用したスマート農業だとか輸出の推進といった、
目先の議論先行になってしまっている、ようなのだ。

 

下山さんのイラ立ちは尋常ではなく、
もっと本質的な議論を仕掛けていこう、というのが彼の狙いである。

いたる方面に電話をかけまくった成果が、この会場に現れていた。

参加者はおよそ100名。
他にオンラインでの参加が50名ほど。
そして農水省からは、官房長はじめ関連部局の部課長らが16名!
どうやって脅した?(失礼) のかよく分からないけど、
まあ、よくぞ集めたと思う。

 

15時から始まって、
最初に約1時間、農水省から検討状況の説明があり、
下山さんからの問題提起、民間団体からの提言・意見と続き、
残りの時間で意見交換、という流れ。

前々日にかかってきた下山さんからの念押し電話では、
「必ず意見を言うように」とのお達しだったが、
ふたを開けてみれば何と、
19団体から20の意見書、提言書が事前に出されていて、
それぞれの団体からの意見表明で時間は押し気味となり、
質疑は司会の徳江倫明さん(協議会理事、「大地」時代の上司)が
指名された方々でほぼ終了。
結局、出番なし・・・

まあそれだけ、みんな溜まってるってことなんだね。

 

農水のお歴々を背に、
問題提起という名の「ゲキ」を飛ばす下山さん。

なぜ目標が達成されなかったのか、の検証ができていない。
農地の大幅な減少、担い手の高齢化(多くがもうすぐいなくなる)が
激しく進むなかで、ただ法律をいじくりまわすだけでは、
変革はおぼつかない。
この機会を逸すると、日本の農業は再生の機会も逸する。

ほぼ輸入に頼っている化学肥料や配合飼料、種子の値上げに、
世界的な食料価格の上昇、これらは一時的な現象ではない。
いかに国内生産(とくに自給力の高い有機農業)を
拡大していくかが、リスク対策の上でも求められている。

国民は遺伝子組み換え食品やゲノム編集等について
不安を感じている。
食品表示法を改正して、情報開示の仕組みを作り直せ。

生物多様性の観点が著しく弱い。
基本法改正のなかで
「みどりの食料システム戦略」(=有機の拡大)を
しっかり位置づける必要がある。

輸入穀物依存の工業的畜産からの転換、
農薬行政の見直し(ネオニコ等、農薬規制の強化)、
等々等々・・・・・書き切れない。

あとに続く各団体からの提言を要約したような問題提起だった。

 

各団体の意見も紹介したいが、
長くなったので次回に。

僕からも一点、誰も触れなかったので、
指摘しておきたいことがある。
これが農水官僚の認識なのか・・・と呆れた部分がある。

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