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エビちゃん日記
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2月14日(土)から15日(日)、
冬の福島を訪ねてきた。
と言っても福島は広い。
大平洋側の浜通りと、新潟の山間部に近い会津では
気候風土も文化もまったく違う。
福島をひと言で括ってはいけない。
今回の主たる目的は、
今年で19回目を迎えた会津・喜多方での
「大和川酒造交流会」に参加するためだったのだが、
どうしても立ち寄りたい場所があり、郡山から西に向かわずに、
東北本線を北上して二本松駅に降りた。
訪ねたのは、二本松市東和地区にある
「ふくしま農家の夢ワイン株式会社」。
2012年9月に、福島の農業の復興を目指して、
生産者たちが立ち上げたワイン醸造所。
設立メンバーの一人に、大地を守る会がリンゴで契約している
「羽山園芸組合」の熊谷耕一さんがいて、
今ここで働いているイケメンの息子、耕平さんが
駅まで迎えに来てくれた。
建物は昔の共同稚蚕飼育所を皆の手で改造したもの。
最初は「どぶろく特区」を目指していたのだが、
耕作放棄地の解消と若い女性をターゲットにしようと、
ブドウ栽培から始めてワインをつくる、という話に発展した。
震災(原発事故)前のことである。
震災による被害は「大したことはなかった」(生産者の弁)。
瓦が落ちたり、畑の一部が崩壊した程度で済んだ、と。
浪江方面から避難してきた大量の人たちを受け入れ、
炊き出しなどで懸命にもてなした東和の人たちにしてみれば、
そうなんだろう。
しかし原発事故はあまりにも非情だった。
深い「絶望」という境地が一人一人の胸に迫ったに違いない。
自ら命を絶った人もいる。
それでもへこたれず、前を向いて歩けたのは、
やっぱ仲間の存在だったと思う。
しかも、それは地域の仲間だけではなかった。
震災の直後に、前年の秋に視察した白沢村(現本宮市)の農場から、
頼んでいたブドウの苗木が届いたのだ。
2011年3月、手を挙げた会員に苗木を配り、
定植作業が始まった。
耕作が放棄された桑園などを甦らせる計画を、
予定通り彼らは決行したのだった。
2011年11月、20戸の農家で
「東和果実酒研究会」を結成。
翌12年3月、ワイン特区として認定される。
そして9月、8人の出資によって
「ふくしま農家の夢ワイン株式会社」が設立された。
2013年4月、初仕込み。
それはブドウではなくて、リンゴだった。
原発事故の影響によって売り切れなくなった「羽山りんご」。
熊谷さんたち「羽山園芸組合」もその冬、
ユンボで土を掘って、20トンのリンゴを埋めた。
その時の思いは・・・僕には語る資格がない。
(醸造所内を案内してくれる熊谷耕一さん。ピンボケでスミマセン。)
2013年7月、待ちに待ったリンゴの果実酒
「シードル」が完成する。
爽やかで甘さ控えめ、酸味と渋みのバランスよく、
実に飲みやすい(アルコール度数8%)。
目論んだ通り、女性にウケる果実酒が出来上がった。
写真の右は、早摘み(実の間引き)した青リンゴを
使った「グリーンシードル」。
贈答用の化粧箱もつくられて、いい感じだね。
夢ワインを訪ねたのは、他でもない。
大地を守る会でこのシードルの販売が決定したのだ。
2年前から熊谷さんから頼まれて、
決意だけで受けた約束を、ようやっと果たすことができる。
その報告と打ち合わせを兼ねての訪問となり、
少しは喜んでもらえたんじゃないかと思う。
醸造所の会議室には、「あぶくま農と暮らし塾」と
大書された横断幕が貼られてあった。
「ふくしま農家の夢ワイン」。
地域の再興をかけた拠点であり、学び舎でもある。
ここから始める、の気合がこもっている。
2013年の秋には、震災直後に植えたワイン用ブドウ
「ヤマ・ソービニオン」の収穫も始まった。
今では12種類のブドウが植えられ、その数2千本に達した。
農薬散布は、これまでない。無農薬栽培のワインである。
一時は荒れた農地が蘇り、若者たちの入植もあとを絶たず、
新たな夢も広がっている。
短い訪問だったが、帰りがけに急いで一枚。
これまたピンボケで大失敗。
おかしいなあ、合ってると思ったのに・・・ヤバいね。
写真右の二人が熊谷親子。
手前左が代表の斎藤誠治さん。
後ろの若者は農家の倅たち。しっかり後継者も育てている。
帰ろうとする背中に、
「生産が安定してきたら、ワインもお願いしますよ」
との声がかけられ、またも決意表明。終わんないね・・・
大地を守る会でのシードルの取り扱いは
3月下旬か、4月になるか・・。
まずはネット(WEBストア)のみでの販売となるけど、
登場が待ち遠しい。
捨てられる運命にあったりんごたちの涙と、
未来への夢が詰まったりんごシードル。
多くの方に飲んでいただけることを願ってやまない。
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