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お知らせ
- 伊豆半島・シカ肉だより
さて、では、
イズシカ肉の安全とおいしさの秘密から始めたいと思います。
「秘密」といっても、べつに隠しているものではありません。
イズシカ問屋が開設にあたって追究した、
安全性と味を高めるための加工工程の特徴と言える部分です。
なお、この「伊豆半島・シカ肉だより」でいう
「イズシカ肉」とは、あくまでも伊豆市内で捕獲され、
イズシカ問屋で加工されたシカ肉のことになりますので、
予めご了解ください。
まずは、捕獲から。
捕獲者は、市の実施する搬入研修会を受講した猟友会の会員
および伊豆市有害鳥獣捕獲隊員に限定されており、
定められた取り扱いルールに則って、
捕獲後すぐに放血(止め刺し)を行ない、
短時間での搬入が義務付けられています。
捕獲から搬入までの時間は、規定では4時間以内とされていますが、
実際には2時間以内というスピード。
(一日の受け入れ頭数に限りがあるため、搬入も競争なんです。)
完璧な放血と素早い搬入、それが「鮮度」とともに
「臭みのない肉」を実現させているのです。
放血が不充分でうっ血が広がったものや疾患のある個体は、
受け取り拒否となります。
疾患の有無については獣医とも連携されていて、
「疑わしきは処分」が徹底されています。
獣医とのホットラインがあることも、
自治体が運営する加工センターの強みですね。
搬入されたシカには個体番号が付され、
誰が・いつ・どこで・どんな方法で捕獲したか記録され、
最後の肉まで個体番号で管理される
トレサビリティ(追跡可能)の仕組みが出来上がっています。
しかも肉の個包装まで同じ加工所内で行なわていることも、
安心・安全を担保する一つと言えるでしょうか。
受け入れを認められて搬入された個体は、まず洗浄し、
ハンガーで吊り上げて、床に接しない形で内臓を摘出します。
そのさい、内臓全体を丸ごと、きれいに取り除くのがポイント。
さらに電動ウィンチで引っ張りながら一気に剥皮。
これによって皮や内臓に触れた手を接触させずにすみます。
そしてふたたび洗浄。
イズシカ問屋での洗浄は、電解水が使われます。
強アルカリ水で洗浄、強酸性水で殺菌することで、
有害な食中毒菌などをシャットアウトさせます。
衛生面も徹底的に考慮された、
イズシカ問屋自慢の工程のひとつです。
そこですぐに肉のカットとはいきません。
「熟成」という工程が入るのです。
骨が付いた状態で一週間から10日、冷蔵庫で保管することで
骨から旨み成分(アミノ酸など)が肉に染み込み、
同時に余分な水分を抜きます。
旨みを引き出し、しっかりした肉にするための
欠かせない工程です。
ここまでの写真はちょっと生々しいので控えましたが、
これなら大丈夫でしょうか。
冷蔵庫で熟成させているところ。
そしてようやくカット工程に入ります。
スジや皮などを除き、きれいにトリミングして、
指定の重量にカットします。
ここはベテランの職人、大橋英敏さんの腕にかかります。
200gと指定されれば、それ以下になることなく、
ちゃんと205gくらいに収めて切るのです。
トリミングも完ぺき、きれいに仕上げてくれます。
《 ただし1頭から取れるロースはわずか(約40㎏の個体で1㎏程度)
なので、すべてが1本肉というワケにはいかず、
袋によっては2本のブロックが入る場合があります。》
カットされた肉はすぐに真空包装され、
瞬間液体凍結させることによって、
旨み成分を閉じ込め、柔らかさを保持させます。
もちろん金属探知機によるチェックも通ります。
いかがでしょうか。
行政として取り組む以上、
安全・安心と味には徹底的にこだわりたい。
全国各地の処理施設を視察して、良い点を集めてつくったと、
伊豆市農林水産課の杉本靖さんは胸を張ります。
杉本さんは林業自然保護スタッフの主幹という肩書。
つまり「イズシカ問屋」は、林業と自然保護のスタッフたちが
運営している施設なのです。
しかも営利よりも信用が大切だと、
ちょっとでも不安のあるものは除外し、
重量を稼ぐためにトリミングを甘くしたりもしない。
そこは公営施設のメリットでもあると言えます。
今回は生々しい写真は控えましたが、
いのちを頂く以上、しっかり確認したいという方には、
現場をご案内する機会も設けたいと思っています。
いや、ぜひ見てほしい。
そして現地で日々奮闘する人たちの声も聞いてほしい。
来年には実現させますので、どうぞご期待ください。
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